それだけに主将のCB菅野陸斗(3年)は、「みんな落ち込んでしまい切り替えるのが難しかったが、ここまで積み上げたものを無駄にしたくなかった」と語る。並々ならぬ思いでリーグ戦に臨んだのには訳があり、「昌平に勝った時も正智深谷に負けた時も、保護者の人たちが『ここまで連れてきてくれてありがとう』とか『幸せだったよ』って声を掛けてくれました。もう1度、あの笑顔を見たかったんです」と再度結束したチームの思いを代弁した。

 4月7日に開幕した前半戦を7勝1分け1敗の首位で折り返した聖望学園は、8月24日に始まった後半戦 も順調なスタートを切った。

 市立浦和武蔵越生武南東京成徳大深谷を倒して4連勝。前期第5節から9連勝と破竹の勢いで首位の座を堅持した。ところがこの後、正智深谷に5失点で大敗すると昌平セカンドにも0-3の完敗。初の連敗を喫した。

 山本監督は「正智深谷戦あたりから少し優勝を意識し始め、動きに硬さが出てしまった。汗をかいて最後まで走り切ることがうちの特長なのに、王様のような受けて立つ試合をしたんです」と苦杯をなめた2試合を振り返る。

 危機感を抱いたイレブンは、問題点を洗い出すため選手同士で意見をぶつけ合い、積極的にボールへ向かっていく守備の確認をしたという。これが効いたようで、第16節では細田学園を無失点に封じ込んだ。さらにS1リーグ最少失点の堅陣を切り崩して得点し、連敗を2で止めて首位キープにつなげたのだ。

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