ボランチの高林馳矢(2年)が送ったロングパスが相手に当たり、こぼれ球へとっさに反応した瀬間が左から軽やかなドリブルで運んだ。前に出てきた189センチの大型GK斎藤准也(2年)の位置を冷静に確認し、ゴール左に蹴り込んだ。

 「キーパーとの1対1は少し緊張しましたが、いいタイミングでキックできたと思う。合流したばかりなので何とかアピールし、得点や活躍することしか考えていませんでした。立石の存在は刺激になり、自分も来年はトップチームに上がれるように頑張りたいです」

 横山杯で指揮を執ったのがサッカー部コーチで、全国選手権の引率教員でもある櫻井勉さんだ。社会人チームで5年間プレーした後、オシム監督がいた頃のJリーグジェフユナイテッド千葉の育成部に3年在籍した。30歳で前橋育英に着任し、今年で18年目となる。

 櫻井コーチも「この遠征を通じて少しでも成長し、選手権のメンバーに入れなかった悔しさをはね返してほしい。選手のいい面を伸ばし、長所を引き出すことが私の大事な仕事です。もやもやしている選手を育てて上に引き上げる立場にいます」と述べた。大所帯の強豪チームにあって、極めて重要な役回りであることが伝わってきた。

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▽横山杯第25回全国ユース招待サッカー大会
横山杯第25回全国ユース招待サッカー大会