その言葉に突き動かされ、小原もピッチで存在感を増していく。丁寧にボールを繋ぐ流れの中で自ら逆転の一撃。さらにもう1点を加えて、試合は3-1に。だが、そこで終わらないのがこの試合の奥行きだった。終盤、綾瀬の猛攻を浴びて1点を返されたとき、彼の心に浮かんだのは「まだ甘い」という言葉。

「正直、もっと取れた。そこがまだ、自分たちの甘さだなって思ってます」

 自分たちのスタイルは“つなぎ”で崩す。身体的なアドバンテージはない。だからこそボールを握り、動かし、支配する。地味だが、粘り強いサッカー。そこに誇りを持ち、練習で積み重ねてきたものを、この選手権予選の結果で証明していく覚悟だ。

【次のページ】 スイッチが入った、その左足で 藤沢清流MF小原達己が見せた“らしさ”(4)

▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選