PKを制した川崎市立幸イレブン(写真=西山和広)
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選1回戦、新城 vs 市立幸。延長を含め100分間、ひたすらに耐え、攻め、そしてまた耐える。最後に行き着いたのは、サッカーにおける最も残酷で最も劇的な決着方法のPK戦だった。川崎市立幸を率いる鈴木晋也監督は、その時間のほとんどをピッチサイドで声を枯らしながら選手を鼓舞し続けた。選手たちから「誰よりも熱く、サッカーが大好きな先生」と慕われるその背中が、この試合のすべてを象徴していた。
「PK(を蹴る順番)は僕が決めました。負けたら僕のせい。あの子たちに責任を背負わせたくなかったから」
鈴木監督はそう言って笑った。だが、その決断の裏には選手への強烈な信頼があった。5人のキッカーは全員、鈴木監督の采配に委ね、「先生が決めてください」と迷わず言い切ったという。
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▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
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