春日部の集合写真(写真=会田健司)

 試合後、春日部を率いる柳田一貴監は「『リードされるのは当たり前だよ!何も変わらないよ!』と言っていたので、むしろあの点(市立浦和の先制点)が入ってから集中力が増してゲームに入れたかなと。CKから押し込んだ直後に失点してしまったので、そこでゲームプランが上手くいかなくなってしまった」と同点ゴールの直後に許した失点が痛かったと振り返り「でもそこが市立浦和高校さんの技術や能力の高さ」と勝者を讃えるコメントを残した。

 敗れはしたものの、相手を押し込む時間帯を作るなど、見せ場も多く作った春日部イレブン。「色んな部活の3年生が応援に来てくれて、ホームの市立浦和高校さんに負けないぐらい沢山の後押しがあって、それが彼らの力を引き出してくれた」と指揮官が感謝したように、応援に背中を押された選手たちはリーグのカテゴリーが上の相手にも怯むことなく向かっていった。

 「市立浦和高校さんはうちが目指している文武両道を体現されている、本当に目標にすべきチーム。そのチームと選手権で当たることが決まって、"ここで倒せば勢力図を変えられるかもしれないぞ"っていう意気込みで臨んだんですが、力が及ばなかった。でも選手たちは本当に一生懸命戦ってくれて、『ワクワクするような試合をしよう!』とゲームに入った中で彼らがそれを体現してくれたなと思います」

 近年は全国の舞台から遠ざかってしまっているものの、市立浦和は全国高校サッカー選手権出場14回、全国優勝4度という輝かしい歴史を持ち、さらに埼玉では有数の進学校だ。その市立浦和と同じく公立で進学校。春日部にはリスペクトと対抗心の両方があり、それをぶつけて挑んだ戦いでもあった。

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▽第104回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第104回全国高校サッカー選手権埼玉予選