改修を控える国立競技場で行われる最後の大会となった、第92回全国高校サッカー選手権大会。オープニングゲームで対戦することになったのは、熊本県予選5試合で1失点と堅守で勝ち上がった熊本国府(熊本)と東京都予選4試合で11得点を優勝候補の一角と目されている國學院久我山(東京B)。激戦が繰り広げられた。
先制したのは熊本国府。國學院久我山の猛攻に押され気味だったが、前半27分、チャンスを作り出す。MF山口慶希が右サイドからクロスを上げ、逆サイドのMF川上康平が左足ダイレクトで折り返しを入れ、FW大槻健太が右足で押し込んだ。
後半、國學院久我山はさらに攻勢を強めるも、GK小野公治を中心としたチーム一体となった体を張った守りで耐えしのぐ。
だが後半30分、國學院久我山はついに固く閉ざされたゴールをこじ開ける。決めたのは、正確なシュートを打ち続けた富樫佑太の右足。残り10分で試合を振り出しに戻した。
後半、アディショナルタイム1分、國學院久我山MF平野佑一が放った強烈なミドルシュートをGK小野が防ぐ。このビッグプレーに、熊本国府は沸き立った。直後、右サイドを駆け上がった倉原弦岐がゴール前にクロス。ここに大槻が飛び込み、この日2点目となる決勝点をヘディングシュートで叩き出し、決着をつけた。
國學院久我山は、熊本国府の6本に対し14本と倍以上のシュートを放ち終始攻め続けたが、堅い守りを崩しきることはできなかった。
劇的な幕切れを引き寄せたのは堅い守備。自分たちのスタイルを最後まで崩さなかった熊本国府が勝負を制することになった。