後半開始早々東福岡がゴール前でFKを獲得。ここで、東福岡はトリックプレーを見せる。
キャプテン・中村健人が構え、その前に東福岡の壁は3枚。その3枚が呼吸を合わせて後ろに下がり、中村がシュート体制に入ると後ろの壁に入り込んだ東福岡の選手と共に一斉にしゃがみこみ、シュートコースを作り出す。中村はそのコースへときっちり蹴り込み、追加点を奪取。國學院久我山の出ばなを挫く。
國學院久我山もこのまま引き下がるわけにはいかない。19分には波状攻撃で強烈なシュートを打つも、東福岡の体を張った守備に阻まれ得点をすることが出来ない。
逆に東福岡は、その守備に気合が入ったか、22分には餅山大輝が中央に飛び出し冷静に押し込み、自身大会4ゴール目となる3点目を奪う。さらに24分には右サイドからの折り返しを餅山がスルー、藤川がゴールを決め4対0とリードを広げていく。
さすがに足が止まってきた國學院久我山に対し、なおも攻め手を緩めない東福岡は、36分には中村がこの日2点目となるゴールを奪い5対0と國學院久我山を引き離す。
試合はそのまま終了。東福岡が見事17年ぶりの全国制覇を成し遂げた。
試合後、森重潤也監督は「(國學院)久我山は良いサッカーをしていた。でもそれ以上に選手たちが頑張った。チーム立ち上げ当初はどうなることかと不安だったけど、ここまできた選手たちは凄い」と努力を重ねた選手たちを労った。歴代最弱。そういわれてきたチームだったが、「その評価を覆すために戦ってきた」というキャプテンの中村健人選手は「苦しいときはいつも応援席を見るようにしてきた。応援は自分たちの武器」とスタンドの仲間たちの存在の力強さを強調した。鍛え抜いたフィジカルに、それを生かすために磨かれた戦術、そしてスタンドの応援席が一体となり迫力を生み出した東福岡。部員280人全員で這い上がりつかんだのは、インターハイと選手権の頂点という偉大な結果だった。
(文・編集部)