「失点の所は事故に見えるけど、昨日も同じ時間帯に失点しているので修正しないといけない」。鈴木監督が苦言を呈した一撃で試合の流れは明秀日立に傾いたかのように思われたが、苦しい流れを断ち切ったのは2年生ながら10番を背負うU-16日本代表のMF西川潤だ。「昨日、一昨日は寝ていた」と鈴木監督にイジられるパフォーマンスに終わっていたが、この日は前半から力強い突破で攻撃を牽引。特に彼の持ち味が出たのは26分に左サイドを力強く突破した場面だ。一度は相手DFに阻まれたが、「GKコーチから獲り返せと言われたので、やんなきゃと思った」と素早くボールを奪い返すと、切り返しでマークをかわして、ゴール前にパスを配球。反対サイドからゴール前に飛び込んだMF田中彰真が冷静に合わせて、再リードを奪った。

「苦しい時に彼が仕事をしてくれたのはチームとして大きい」と鈴木監督が話したようにこの一点で流れを引き戻した桐光学園はアディショナルタイムにも国谷のFKをFW敷野智大が決めて勝負あり。苦しい流れでも勝ち切ったこと、エースが目を覚ましたことはベスト8以降の勝ち上がりに弾みがつきそうだ。

(文・写真 森田将義)