我慢の時間が続いた東山の潮目が変わったのはウォーターブレイク明けだ。「押し込まれている時間帯だったので、相手にとっては嫌な中断だったと思う」と福重監督が振り返るように、雷が鳴ったため、大事をとり試合が中断。1時間半後の再開からは「もっと圧力をかけて仕掛けてくるかと思った」(福重監督)相手をCKとDF木下誠太のロングスローで押し込んだが、2点目が生まれない。山梨学院も左からゴール前に入れたMF野村海のパスを起点にMF平松柚佑がゴールを狙ったが、粘り強く守る東山の守備陣を崩せず、勝負の行方はPK戦に委ねられた。

 ここで、魅せたのは山梨学院高等学校の守護神GK市川隼だ。1,2本目のキックは「左に来るかなと思った」という市川の読みが外れボールは中央に飛んだが、「最後まで我慢してボールを見れていた」おかげで残していた足を残して見事に防いだ。4本目は読みを的中させ、3本のキックをストップすると、味方のキッカーは3人が成功し、PK戦3-1というスコアで決勝進出が決定。勝利の立役者となった市川は「ここまで来たら狙うのは優勝のみ。皆で勢いよく場の雰囲気を楽しみたい」と決勝への意気込みを口にした。

(文・写真 森田将義)