この日はPKを含む2ゴール、1アシスト。アシストも見事だったが、圧巻は自身の1点目だ。ペナルティーエリア左手前で受けると、まずはひとりを股抜きで置き去り、キックフェイント2つでさらにディフェンス2枚を外すと、最後はキーパーも交わして4人抜きのゴール。敵将も「相手の10番(佐野)と7番(FW下口竜空)のところは個で差があるなと感じた」と評した。

3得点に関わり、チームを3年ぶりの県新人大会に導いた佐野だが、「ここは通過点。満足することなく、県大会でも1位を取れるように頑張りたい。今年は全国に行くために自分が中心となってやっていきたいです」と意気込み。全国を意識するのは身近にいる兄の存在もある。

兄の拓海は第95回全国高校サッカー選手権大会で佐野日大(栃木)の一員として全国3位。準々決勝の駒澤(東京)戦では実際にピッチに立ち、クロスバー直撃のシュートも放った。現在は大学に進み、神奈川県の社会人でプレーする兄は「自分の刺激になっている」という。そんな兄とは「毎日のように」サッカートークを繰り広げているそうで「そこも勉強になっている。今日も帰ってから反省会なんです」。その日のプレーを説明し、助言をもらうのは日課だ。

兄が見た景色を自分も見るために、そして目標であるプロ入りを果たすために。「埼玉県で一番良い選手になりたい」というエースは今年、チームの中心となって全国の高みを目指す。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登