6月15日に調布市西町サッカー場で行われた平成26年度東京都・総体二次トーナメントの2試合目は、都立野津田都立駒場の都立対決となった。

 都立野津田は一次予選では都立東大和南を、そして二次予選1回戦ではこの大会、波に乗っていた東海大高輪台を破り、まさに台風の目として人々の注目を集めている。東海大高輪台戦は試合終了ギリギリで追いつきPK戦に持ち込んだ末に勝利するという劇的な展開が記憶に新しい。
 対する都立駒場は、都立勢初の関東大会王者として、負けられないプレッシャーのかかる初戦だ。関東の強豪に揉まれ厳しい戦いを繰り広げる中で培った力を都立野津田に、そして東京都のサッカーファンに見せつけたい。
 「野津田スタイル」が関東王者、「トリコマ」を飲み込むのか、はたまた、都立駒場が地力を見せつけ都立野津田を蹴散らすのか。注目の一戦は開幕直後、いきなり動きを見せた。

 試合開始直後からテンション高く走り出す都立野津田に対し、一つずつ様子を見て確認するような落ち着いたプレーを展開する都立駒場。そのややスローなスタートに目を付けた都立野津田10番・荒川絢太がフリーで左サイドに飛び出しPA内へ侵入、そこからちょんと小さく中央へパス。そこにやや強引に飛び込んできたのは7番・遠藤凌兼。都立駒場ディフェンスが4人がかりで取り囲もうとするその寸前に素早く足を伸ばし、ボールをゴールへと押し込んだ。前半の3分に都立野津田がまず先制パンチを放ち、場内はざわめいた。

 だが、都立駒場は落ち着いていた。もともと、リーグや関東大会でも立ち上がりは相手の攻撃を受け止め、じっくりと攻撃を作り上げて徐々に、そして着実に反撃していくケースが多い。この日はゴールを許してしまったものの、やることは変わらないとばかりに、キッチリと丁寧なプレーを続ける。都立野津田の縦パスからの素早く駆け抜ける攻撃にも慌てることなく対処。じわじわとサイドから攻撃の手を増やしていく。

 そしてそのキチッとしたプレーを最後までさせまいと素早く寄せていき、潰していく都立野津田。だが、右サイド、秋葉遼太らが躍動し始めリズムを作り出していく都立駒場はアディショナルタイム、ゴール前に落とした所を16番・高橋康太が振りぬきゴールを決める。前半のラストプレー、都立野津田の寄せがやや甘くなった所を見逃さずに都立駒場が同点に追いつき、試合を振り出しに戻した。

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