後半に入り、1人少ない都立駒場はFW4番吉澤泰成を1トップに据え守備的に戦い、カウンターを狙う形。それに対し、数的有利の状況で攻める時間帯が増えた駒澤大学高等学校はFW9番安藤丈をターゲットにロングボールを次々に放り込む。安藤と良い距離感でプレーする7番の動きも冴えゴールへ迫ると48分、6番鈴木隆作が右から中央へ流れながらのミドルシュートは相手DFに当たってコースが変わりバーに直撃する。

 ロングボールからのパワープレーでゴールを狙う単調な攻撃が続く駒澤大学高等学校の攻撃に対しCB3番末永直輝を中心に跳ね返す都立駒場はカウンターを狙いたいところだが、FW4番吉澤も守備に加わることが多くほとんど攻めの形を作ることができない。

 攻める駒澤大学高等学校と守る都立駒場。この均衡した状況を打開したのは駒澤大学高等学校のパスワークであった。ロングボールに頼る攻撃の中で迎えた69分、久々にゴール前でパスが繋がる。右サイドから8番、9番、7番が絡み最後は左に流れた11番が左足を振り抜くが惜しくも枠を捕えきれなかった。

 パスワークを武器に攻め込む駒澤大学高等学校はあと一歩のところでゴール奪えないまま延長戦に突入する雰囲気も漂い始めた79分、ドラマが待っていた。ゴール前中央、ペナルティエリアのギリギリ外で倒され得た直接FK。6番鈴木隆作が右足から放ったシュートがゴール右隅に吸い込まれ待ちに待った先制点が決まった。ゴールを決めた鈴木と喜ぶ駒澤大学高等学校イレブンが真っ先に向かったのは赤く染まった応援スタンド。チーム全員で喜びを分かち合った駒澤大学高等学校が全国への切符をグッと手繰り寄せた。

 1対0。アディショナルタイムは2分。憧れの全国へ諦めない都立駒場も走り続けるが、結局ゴールを奪えず試合終了。鈴木隆作の決勝ゴールで都立駒場に関東大会のリベンジを果たした駒澤大学高等学校が念願の全国総体初出場を決めた。

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