一方の尚志も、前半中盤になり徐々にチャンスを作っていく。サイドにボールが出るようになり、広い展開からゴール付近まで攻め込みセットプレーも多く獲得していく。10番キャンプテンの山内大空はこう振り返る「今までの試合も、先制されてもチームで落ち着いてプレーする事が大事だと戦ってきた。この大会期間中にそういう面でもさらに成長出来てると感じてる」。そう話した通り、尚志は先制されても動じることなく、自分たちのベストプレーを心掛けていた。そして前半終盤戦の31分、チャンスから得たコーナーキック。キッカー2番吉田奨の正確な左足から5番渡邉光陽がヘディングで同点弾で追いつくと、直後の前半ロスタイム、14番黒田陸斗がペナルティエリアでファールを受けPKを獲得。キッカーは10番山内大空。「この短期決戦ではセットプレーの質も大事」こう話していた山内は自ら落ち着いて逆転弾を決めた。尚志は逆転後もさらにゴールに迫り、中央付近からの2番吉田奨のFKに10番山内大空がこの日2点目となる追加点をヘディングで決め3‐1として、前半終了。

 後半に入っても尚志の勢いは止まらない。後半開始直後の37分、コーナーキックからのこぼれ球を6番福田修也が決め3点差とする。3点のビハインドを背負った初芝橋本も反撃に出る。41分、11番名願央希が中央でボールを奪い取ると、スピード生かしたドリブルで相手を抜き去り、ペナルティエリア手前付近で10番大谷澪紅がフリーで横パスを受けこれを冷静に流し込み、1点を返す。後半途中から尚志は9番染野唯月を投入。今日はベンチからのスタートだったが、攻撃の起点となりロングボールの的となり、初芝橋本もなかなか攻撃の時間を作れない状況が続く。そして、このままは試合は4-2で終了、尚志がインターハイ初となる4強に進出した。

 試合後、9番染野唯月は「この短期決戦でチーム力がさらに良くなり試合ごとに成長してると実感している、準決勝は決勝戦で楽しむために絶対に勝たなくてはいけない。明日もチーム一丸となり勝ちたい」と意気込んだ。尚志の仲村監督は「選手たちに向けて、楽しく全力でやろうと伝えている、明日の試合も全力でいく」とこのチーム力を最大限に活かして決勝進出を目指す。明日の準決勝は、富山第一(富山)と対戦する。

(文・写真=小林優介)

 
▽令和元年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和元年度全国高校サッカーインターハイ(総体)