「走力はつけてきたつもりだけど相手は強いチームなので、前半から飛ばし過ぎて後半はバテて対応が遅れてしまった」(吉岡監督)五條を尻目に、仙台育英は下級生がハツラツとしたプレーを披露する。58分には左サイドで奪ったFKからMF16番明石海月がシュート。DFに当たったこぼれを佐藤が冷静にゴール左隅に流しこみ、試合を振り出しに戻した。65分には退場者を出し、10人での戦いを強いられたが、集中力を保った守りで1-1のスコアを維持すると、勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。

PK戦で輝いたのは、仙台育英のGK1番佐藤文太だ。城福敬監督の「キーパーとしての存在感が増した。彼がいると相手のキックは5本全て入ることはないだろう。1、2本は彼が止めるだろうと思っていた」という信頼に応えるかのように、相手の1本目のキックを足でストップ。3人目のキックも読みを的中させ、1-1(PK3-0)で仙台育英が2回戦進出を決めた。

五條は敗れたものの、勝利まであと一歩の所まで迫ったのは事実で、会場を沸かせる場面も少なくなかった。選手権初出場とは思えない奮闘ぶりで、吉岡監督は「PKは次に行くチームを決めるだけ。勝負としては決して負けなかったと選手に言ってあげたい」と選手を称えた。

(文・写真=森田将義)

▽第98回全国高校サッカー選手権大会
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