ただ、鵬学園の赤池監督は「0-0は悪くない。少し後ろに重たくなっているので、もう少し相手のラインを下げさせよう」という指示を与えて選手を後半のピッチに送り出した。前半よりも前線からのプレッシャーを強めつつ、状況によってはプレスに行くエリアを少し下げるといった判断も加えながら相手の攻撃に規制をかける。そして、ボールを奪えば前半から何度か起点を作れていたFW前田瑞季を軸に攻めていった。

そんな中で54分、京都橘が先制点を決める。MF髙木大輝のCKのこぼれ球をDF松本永遠が蹴りこんだ。リードを奪った京都橘はその後も主導権を握りながら試合を進めるが、追加点を奪えない。対する鵬学園は選手交代でフレッシュな選手を次々と送り出し、システムも2トップへ変更して攻撃の手を強めると、終了間際の80分に試合が動く。右サイドからエリア内中央へパスが入ると、MF宮本爽汰が落としたボールをFW坂本健太が左足で蹴りこんで同点!共に途中出場の2人が絡んで生まれたゴールにより、1-1となって試合終了のホイッスルが鳴り響き、勝負の行方はPK戦へ持ち込まれた。

PK戦で輝いたのは鵬学園のGK前原だ。80分の中でも好セーブでピンチを防いでいた守護神は、PK戦でも京都橘の1番手と2番手を立て続けにストップ。最後は5人目を任された途中出場のDF須藤芹彩がしっかりと決めて、3回戦進出をつかみとった。

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▽第98回全国高校サッカー選手権大会
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