躍進を期待されながら、まさかの初戦敗退となった京都橘。前半からボールサイドへ連動したプレッシャーをかけてくる相手に対して、攻撃を展開をさせてもらえない場面が目立った。また、前線で起点を作れるシーンも少なく、梅村は「僕が前半のチャンスを決めていれば…悔やんでも悔やみきれない」と自身のプレーを厳しく指摘したうえで「前線へ入ってくるボールの回数と質が、いつもとは違った」と話している。佐藤も「最終ラインからロングボールを蹴ってしまうことが多かった。もう少しボランチからつなげれば、前向きの状態が増やせたはずです。サイドチェンジもなかなかできなかった」と話している。パスをつないで攻撃を組み立てられるのが今年のチームの強みだが、相手の京都橘対策の前に、その持ち味を出し切れなかったというのが本音だろう。それでも得意のセットプレーから先制点を奪ったが、リードした状況を生かした試合運びや、終盤の試合の締め方が上手くやれなかった。試合終盤に追加点を奪いに行くのか、1点を守るのか。敵陣でボールを持った時に、キープするのか、しないのか。そうした意思統一が「ピッチ内の選手間でコミュニケーションを取り切れなかった」(梅村)のは、ピッチに立った2年生の5人をはじめ、新チームへの課題として継承すべきポイントとなる。

勝利した鵬学園はPK戦に向けたGK起用が功を奏した。県大会ではPK戦に強い控えGK藤原をPK戦直前に投入するのが必勝パターンだったが、この日は好セーブを連発していた前原のパフォーマンスを見て、交代させずにPK戦を託した。前原は「県予選の準決勝で、藤原が交代準備をしながらプレーが切れずに自分がPK戦をやったことがあったので、こういうこともあると想定はしていました。PK戦は相手の情報はなかったけれど、自分の判断が当たりました」と話している。3年前の初出場ではつかめなかった初戦突破を成し遂げ、「ここから勢いに乗っていきたい」(赤池監督)と流れに乗っていけるかどうか。3回戦は矢板中央と対戦する。

(文=雨堤俊祐)

▽第98回全国高校サッカー選手権大会
第98回全国高校サッカー選手権大会