リードを奪った前橋育英。終盤は相手のロングスローなどから攻め込まれる場面もあったが、CB相原大輝を中心に跳ね返して得点を与えない。最後までリードを守り切った“上州のタイガー軍団”が出場権を手に入れた。

 試合を振り返れば、最少得点での勝利。肝を冷やすゲームだったのは間違いない。だが、チームに焦りはなかった。山田耕介監督はハーフタイムにこんな言葉を掛けたという。

「前半の決定機を外したけど、そこは気にしなくていい。10分で1点は決められるし、シュートを外しても、外しても、攻撃を続けていこう」

 そこはこの道40年の名将だ。選手たちに的確な声を掛け、我を忘れないように諭した。

「あれだけ攻めても点が入らなくて、相手のGKも当たっていた。自分も慌てていなかったし、攻め続けても、自滅だけはしないように心掛けていた」(櫻井)

 実際、選手たちもそこまで慌てていなかった。だが、この言葉でより冷静になったのは間違いない。

 主力選手を欠きながらも、示した勝負強さ。本大会では強豪揃いのブロックに入った。勝ち上がれば、3回戦で青森山田と顔を合わせる。夏のインターハイ2回戦では主導権を握りながらも0−2で惜敗。結晶のように粘り強く戦えれば、リベンジは可能だろう。2度目の選手権制覇へ。その目標を果たすべく、チームはさらなる成長を誓う。

(文・写真=松尾祐希)

▽第98回全国高校サッカー選手権群馬予選
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