後半は押し込まれる時間帯が増えたものの、DF庄司千暁、大石季侑の2センターバックを中心に粘り強く守り抜いた浦和南がしっかり「0」で抑えて、初戦を2ー0の完封勝利で終えた。

浦和南は1969年に高校サッカー史上初の3冠(高校選手権、高校総体、国体)を達成するなど、赤き血のイレブンと呼ばれるチームのベースを作り上げた松本暁司氏が9月3日に逝去。この日は左腕に喪章、ベンチからは松本先生の遺影も見守る中で初戦に臨み、勝利を飾った。

自らも選手として、指導者として師弟関係を築いた野崎監督は「やっぱりこの庭では負けられない。我々が一生懸命流した汗が染み付いているところであり、松本先生の想いが詰まったこのグラウンドでは負けられないという意気込みを持って選手たちにもやらせたい」と語った。

松本先生は高校創立の1963年から指揮し、1969年には史上初の三冠を記録、1975、1976年には全国高校選手権大会連覇を達成した。その様子は梶原一騎原作「赤き血のイレブン」として漫画、アニメ化もされた。1995年に32年勤め上げた浦和南を退いたが、その後も同校に対する愛情は変わることはなく。昨年は17年ぶりの選手権出場をスタンドから見守り、今年も亡くなる1ヶ月前に行われたサザンクロスカップに出席し選手たちのプレーに熱視線を送った。佐藤は「昨年の選手権でもいろいろと話してくださって、今年の夏も細かい指導までしていただいた。そういう意味でも思い入れはあります」。選手たちも“松本先生”に捧げるべく、一戦必勝を誓った。

【次のページ】 頼れるCBが復帰。