これで2戦連発3ゴール目。不在の谷直哉に代わり、点取り屋としてチームを引っ張るFW西岡健二は「次は自分が直哉を全国に連れて行く番」とエースの想いも背負ってピッチに立つ。

武器は「動き出し」と「決定力」。今年はリーグ戦からインターハイ1回戦まで6試合連続と得点を量産したが、2ゴールを奪った1回戦で新人戦で負った右膝の故障を再発。チームはその後4年ぶりの優勝を飾ることになるが、西岡自身は2回戦以降登録を外れることとなった。

好感触もあっただけに「最初は落ち込んだ」というが、そんな西岡に言葉をかけたのが決勝のハットトリックでチームを全国に導くことになる谷だ。「直哉から『俺が全国に連れて行くからお前は頑張って怪我を治して全国で活躍しろ』と言われて。その言葉がいまでも忘れられなくて、次は自分が直哉に全国をプレゼントしたいという気持ちでこの大会は臨んでいます」。

自分も同じ経験をしたからこそ、怪我で戦線を離れるつらさはよくわかる。今大会は谷の想いも背負い3トップの中央でプレーする中で初戦となった3回戦の浦和西戦でいきなり2ゴールを決めてしっかりとエースの穴埋め。この試合でも持ち前の動き出しと決定力の高さを見せた。

前半17分に楔のパスをきっちりワンタッチで落としてMF岩田璃玖のゴールをアシストすると、最大の見せ場となったのが後半23分。MF今田剛がキックモーションに入ると同時に動き出し。間接視野でキーパーが前に出ているのを捉えると「半身でやることによってボールの勢いも殺さずにヘッドができる」。ほぼバックヘッドのような形からファーサイドに流し込んだ。

「直哉を全国へ」は全員の合言葉だが、それを一番胸に思っているのは背番号17だろう。「次は自分の番」。あの時の約束を今度は自分が返すべく、西岡は最前線でゴールを積み重ねる。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登