初の選手権は駒場の大観衆の前。「公式戦自体久しぶりのスタメンでもあってアップでも少しぞわぞわした。ピッチでアンセムを聞くのも初めてなので気持ちも昂りました」。その大舞台でスタメン出場したFW斎藤彪雅は抜擢に応える2ゴールを決めて、チームを勝利に導いた。
28分にコーナーキックから泥臭く選手権初ゴールを決めると、印象的だったのは前半最後に決めた2点目。シュートは一度キーパーに弾かれたが、リバウンドは再び斎藤のもとへ。すると「もう頭でいこうと思って。キーパも前に出ていたのでループ気味で狙おうと思いました」。
すでに1本目のシュートで完全に体勢は崩れていたが、腕と背筋の力で自らの身体をプッシュアップして頭に当てると、ヘディングはふわりとした軌道を描きながらゴール右隅に吸い込まれ「もうやってやったぞという気持ちでした」。最終的にこの2点が勝負決める点となった。
ゴールという形で結果を出した斎藤だが、その真の個性は絶え間ない「ハードワーク」にあると酒井宏治監督はいう。「他の選手が守備をサボってもあいつはサボらない。2.5人分くらい走ってくれる」。本人も「それがなきゃ試合に出られないと思う。しっかり自分の長所を理解してやっていかなきゃチームにも必要ないと思っているのでそこはしっかりやってきました」。
屈強な体躯や得点力、技巧など、決して華のある選手ではないかもしれない。それでもしゃかりきになって食らいついていく姿はチームに勢いを呼ぶ。そしてそういった選手に最後ボールは転がってくる。西武台戦でも背番号13は出場となれば最後の瞬間までボールを追いかける。