まさに「小見劇場」である。そう表現していいくらいFW小見洋太の4得点は衝撃的だった。

前半13分に自身ファーストシュートをヘディングでネットに運ぶと、「あそこで振り抜けるのがストライカー」と一番満足度の高いシュートに挙げた2本目はボールに対し回り込みながら右足で豪快に蹴り込むゴラッソ。「2点うまく取れたので自信を持って打てた」という3点目は後方からのフィードに、ボールの落ち際を今度は左足で射抜いてゴール上方に突き刺した。

僅差のゲームが予想された中で開始17分の3得点で正智深谷のゲームプランを破壊したエースストライカーは、後半11分にもアーリークロスに得意の裏抜けでキーパーよりも早くボールに触り、最後は無人のゴールに流し込んだ。高校の公式戦でのハットトリックは初、4得点は中学年代のFC LAVIDA時代にもないという。そんなプレーをこの大一番で発揮した背番号11は「自分でも今日は調子が良くておかしいなくらいの感じでした」とはにかんだ。

ちなみに1点目の後に手で作った「J」の文字は現在上映中で家族も好きだという映画「JOKER」を意識してのもの。「自分も昌平のJOKERになりたいと思っていてやりました」。

バットマンの敵役ながら不思議な魅力で見るものを惹きつけるJOKER。昌平のJOKERもまた本家とは違った意味で人を惹きつけるものがある。「クラスでも良いキャラをしていて、サッカー部内でも愛される選手。おっとりした正確なんですけど、試合になると男になる」とは一緒に行動することが多い須藤の弁。ゴール後のセレブレーションで指揮官や仲間たちが愛おしそうに撫でる坊主頭は毎試合前夜に気合い入れの意味も込めて自らバリカンを入れている。

「今回はこういう良い形で勝てたんですけど、まだ全国という大きな目標を達成できていない。そこに向けて一戦一戦しっかりと戦っていきたいと思います」と小見。初見参となるNack5スタジアムでもゴールで、アシストで、昌平のJOKERが見るものを自らの劇場に連れて行く。

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