今季は「埼玉の顔」として火花を散らしてきた昌平MF須藤直輝と正智深谷DF山田裕翔。最後はまさかの幕切れとなったが、試合後は互いに対するリスペクト、感謝の言葉を口にした。
同じアルディージャジュニアユースの出身。山田の方が1学年上だが、須藤がトップに絡んでからはチームメイトとして切磋琢磨してきた。高校ではライバルチームに所属し、2年にわたって死闘を繰り広げてきた。互いに実力も弱点も知り尽くす間。須藤は以前、山田とのバトルについて「裕翔は埼玉県でも屈指のDF。やる時はいつもバチバチになります」と話していた。
そんな2人は今季も幾度にわたり“バチバチ”の戦いを繰り広げてきた。新人大会では昌平が正智深谷を3ー0で下し優勝。須藤も途中出場から1ゴールを決めた。かと思えばインターハイ予選では今度は山田率いる正智深谷が昌平攻撃陣を完封して、新人戦のリベンジを果たした。
そして迎えた選手権準々決勝。リーグ戦の対戦も終了しており、これが高校年代では最後の対決となった。試合は昌平が早々に3点を先行すると、後半須藤の抜け出しを阻止しようとした山田のプレーがレッドカードの判定となるなどまさかの結末となったが、この日もバチバチの1対1を繰り広げ、死力の限りを尽くした2人は互いに対するリスペクトの言葉を語った。
須藤は「やっぱりジュニアユース時代から裕翔にはすごいよくしてもらって、いろいろなことを教えてもらったり、1対1を手伝ってもらったりして、自分は裕翔に育ててもらったというのはある。(山田が下がる際には抱擁を交わしていたが)「俺が頑張るから」と声をかけました。でもやっぱり裕翔には最後の最後まで1対1で勝てなかったのでそこは悔しいですね」。
それに対し山田は「直輝は本当にうまい。昌平の時も、アルディージャの時も、自分が1対1で負けることもあった。やっぱり昌平といったら須藤直輝だと思う。本当にそこはリスペクトしていますし、素直に優勝してほしいなっていう気持ちがありますね」とエールで返した。
山田は来年から大学サッカーに進み、ふたりのライバル物語はここでひとまず幕を下ろすが、いつかまたピッチで再会する日が来れば、その時も“バチバチ”の戦いを繰り広げるのだろう。
記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登