前回のU-17ワールドカップと、今年5月のU-20ワールドカップに飛び級で出場するなど、将来を嘱望されている鈴木。ルーツはガーナで、アメリカで生を受け、日本で育った。187㌢85㌔の恵まれたフィジカルと身体能力の高さは一級品で、ゴールキーパースキルにも定評がある。そして、正確なキックと強肩を生かしたスローイングで攻撃の起点にもなれる現代型のGKだ。
一方で、これまではポテンシャルを発揮する場面が限られていた。過去2大会は第3GKに甘んじ、出番を得られなかったからだ。だからこそ、今大会に懸ける想いは人一倍強い。5月のU-20ワールドカップに参加した影響で、U-17世代の活動には今年3月以降参加できていなかったが、自らの強い希望もあり、9月のエクアドル遠征で代表へ復帰。森山佳郎監督が「今度は彼が中心になってゴールマウスを守って、日本を上のステージに引っ張っていくような活躍をしてほしい」と期待を込めるGKは、大舞台に再び挑戦する権利を掴んだ。
そうした経緯も踏まえ、初戦の前に鈴木も檜舞台への意欲をこう話していた。
「今までとはちょっと違う感じがある。今までのワールドカップは試合に出る可能性が低かったけど、今回は出場する確率が高い。なので、身が引き締まる」
ついにベールを脱いだ期待の大器。「プレーをしていて本当に気持ち良い」。待ち侘びた大舞台を楽しみながら、さらなる成長を誓う。
(取材・文=松尾祐希)