強まる雨に、水分を多く含んだピッチ。コンディションの悪化が懸念される中迎えた後半、最初のチャンスは成立学園。41分、FW鈴木龍之介がミドルシュート。王者撃破へ、成立学園がより一層ゴールへの積極性を打ち出す。

 対する國學院久我山も後半に入ると、両サイドを広く使った攻撃が威力を発揮。45分には右サイドを縦に突破した内桶がシュート。直後のCKでは鈴木のキックをDF野村京平が頭で合わせた。すると連続チャンスの先に歓喜の瞬間が訪れる。50分、左サイドに広大なスペースを見つけ、前を向いての1対1を幾度となく仕掛けた澁谷がPA内へと切り込むと、相手DFのハンドを誘発。得たPKを山本がしっかりと沈め、國學院久我山が先制に成功する。

 スコア変動と共に試合はより激しさを増す。

 成立学園は52分、大野がミドル。さらに55分にはDF矢田部竜汰の右クロスに、ゴール前フリーで待ち構えた竹本がヘッド。57分の“切り札”FW町田ジェフリー投入策も加わり、同点ゴールへ向け前線の圧力は強化された。

 成立学園を相手にポゼッションでは下回った印象も、前線からの連動した守備とマイボール時の巧みな攻撃展開で追加点を狙う國學院久我山は25分、右サイドで得たスローインから小林が突破し強烈なシュートを放つがファーポスト。MF比留間公祐、FW多嶋田雅司といった途中出場選手も存在感を発揮し、時計の針を上手く進めながら追加点を目指した。

 1点が遠いこの日の成立学園は最後まで王者の堅守に苦しむ。

 34分、左サイドを崩すと最後は鈴木が狙い澄ましたシュートを放つもクロスバー直撃。GK平田周を最後方に構え、安定感が際立った國學院久我山の守備を攻略することはできなかった。

 山本のPK弾を守り切った國學院久我山が14日開催の決勝進出。今季初のタイトル獲得、そして選手権都大会3連覇へあと一息のところまで歩みを進めている。

(文・写真 金子侑史)