あいにくの悪天候に見舞われた聖地・西が丘この日の第2試合はBブロック準決勝、東京朝鮮中高級学校帝京の対峙。総体予選で演じた激闘からおよそ5ヶ月、実力均衡の著しい両雄が決勝のピッチを懸け、再び相まみえた。

 序盤、互いに覗えたのは4-4-2の布陣を敷き、リスクを犯さない慎重な入り。ロングボールの供給を多用し、敵陣へと押し込んだ位置からの連動したプレスを徹底した。そんな中迎えたファーストチャンスは帝京。8分、左サイドからのアーリークロスにMF桑島健太が飛び込む。このシュートは惜しくもクロスバーに嫌われたが、帝京ベンチの明確な狙いとして目立ったサイドからのクロス攻撃がまずは一つ、フィニッシュまで結びつく。さらに13分には、再び攻撃活発な左サイドからチャンスメーク。MF平井寛大のクロスにMF浅見颯人がヘッド。続く15分にはこちらも積極果敢な右サイドから。MF長倉昂哉の突破で敵陣へ押し込むと、浅見のクロスに平井がダイレクトで合わせる。突破力と力強さを兼ね揃える両翼を起点に、次々と東京朝鮮中高級学校ゴールを脅かした。

 さらに攻める帝京、23分にはカウンターからビックチャンス。

 自陣でパスカットに成功した平井がドリブルで持ち上がると、最後はスルーパスに反応したFW中瀬大夢が右足振り抜く。しかし惜しくもGKチェヒョンジュの好セーブに阻まれ、これには帝京ベンチも立ち上がって悔しさを爆発させた。

 守備に負担が掛かる東京朝鮮中高級学校は前線にボールの収まりどころを見い出せず。

 肝心のFWリャンヒョンジュは河野翔太、吉田一貴と、帝京が誇る両CBのマークに苦しむ。それでも、先日のU-17W杯に北朝鮮代表として出場した世代屈指の点取り屋には、一瞬のスピードでDFを置き去りにしゴールを奪う力が備わっているだけに、状況打破に期待が寄せられたが、この日の帝京はMF陣のDFラインに対するカバーリングも冴えていた印象。特に桑島は時にアンカーの位置にポジションを取り、リスク管理を徹底するなど献身性が光った。

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