喜ぶ興國イレブン(写真＝森田将義)

　「Blue Wave event tour 2021～大阪春の陣～スペシャルバウト」と評して行われた興國と神村学園の試合が29日にJ-GREEN堺で行われた。開始すぐに神村学園が2点を奪ったが、FW永長鷹虎(3年)のゴールを皮切りに4点を奪った興國が逆転勝ちをおさめ、20日に行われた静岡学園戦に続き、2連勝となった。

　序盤に輝きを放ったのは、2年生ながらもすでに多くのJクラブが熱視線を送るFW福田師王だ。前日に高校選抜の活動から合流したばかりとは思えないハツラツとした動きで、立ち上がりから興國ゴールに迫った。前半8分には右サイドでボールを持ったMF若水風飛(3年)をDF中俣硫華(3年)が追い越してゴール前にクロス。タイミングよく走り込んだ福田が右足ボレーで合わせて、ゴールネットを揺らした。直後の9分にはMF畠中健心(3年)のスルーパスから、MF篠原駿太(3年)が左を抜け出し、シュート。ポストに当たったリバウンドを福田が押し込み、2点差とした。

　幸先の良いスタートを切ったものの、福田が「2点獲れて良い流れだったけど、集中が切れた。主導権が握れず、相手の時間が増えてしまった」と振り返ったように以降は守備の時間が増えた。MF大迫塁(2年)は「相手にボールを持たれる中で引いて守りたかったけど、テクニカルなチームだったので思うようにボールが奪えなかった」と続ける。

　MF宇田光史朗(2年)や福田凌(3年)を中心に興國が、テンポよくボールを動かす中、違いを見せたのはサイドの2人だ。入学前から10番を背負うMF宮原勇太(1年)は、緩急に富んだドリブルとパスを上手く使い分け左サイドで相手を翻弄。「神村は強いので、どれだけできるか楽しみにしていたけど、自分の得意なドリブルは結構通用した」と確かな手応えを得た。反対サイドのFW永長鷹虎(3年)も「最近はタッチ数が多かったので一旦簡単に離して、ゴール前で自分の仕事をしようと思った」と高い位置でスピード溢れるドリブルとアイデア溢れるプレーを見せた。

神村学園 vs 興國(写真＝森田将義)

　25分にMF山本蒼太(3年)が倒され得たPKを永長が決めて反撃の狼煙を上げると、33分には永長の突破から右CKを獲得。自らがゴール前に入れたクロスを宇田がゴール前で合わせて、同点に追い付いた。前半終了間際には、MF武本射雅(3年)の好フィードから山本がゴールネットを揺らし、興國が1点リードで試合を折り返した。

　後半は、前からのプレスを強めた神村学園に手を焼きながらも、落ち着いたボール回しで興國が主導権を握った。途中からは、セレッソ大阪U-18から移籍加入したFW向井颯(3年)を右ウイングに投入。仕掛け役だった永長が引き気味の位置からパスを送るなど、後半はスピード溢れる攻撃陣を引き立てた。後半15分には、鋭い突破から奪った右CKを宇田が頭で合わせて4点目をマーク。23分にも右CKのこぼれを宇田が押し込み、ハットトリックを達成した。

　28分には中央の引き気味でボールをおさめた永長がDFの背後に配球。向井が持ち味の俊足を活かして、ゴールを狙ったが惜しくも枠の左の外に外れてタイムアップ。大差はついたものの実力校同士が出せる力を最大限に出し切った一戦は、見どころが多い展開となった。