鹿島学園イレブン(写真提供=オフィシャルサポート)

 後半もサイド攻撃からチャンスを作っていく鹿島学園だが、山梨学院はGK熊倉匠が抜群の反応でシュートをセーブ。攻勢を強めていく鹿島学園の攻撃に付け入る隙を与えない。守勢に回った流れの中で山梨学院は、早めの交代で攻撃を活性化させ流れを変えようと、49分に茂木秀人イファイン・笹沼航紀の2人を同時投入。

 それでも攻勢を保っていた鹿島学園だが、フィニッシュの精度を欠き、得点を奪えないでいた53分、右サイドからのクロスの処理に手間取った鹿島学園守備陣の乱れをついた広澤灯喜がシュート。こぼれ球を意識していたという広澤の一撃で決まり、守勢の山梨学院が先制に成功する。まさかの先制を許した鹿島学園は、失点直後に押久保弘人がゴール前で決定的なシュートを放つも、ここでも熊倉がファインセーブを見せて、得点を許さない。

 何としても得点を奪いたい鹿島学園は、一層攻勢を強めようとするが、ゴール前を固めながら、常に複数で相手を囲んで、ボールを奪う山梨学院の攻撃的な守備の前に苦戦。エゼトベチクのシュートは枠をとらえきれず、土井紅貴のクロスもゴール前での決定的なシーンにつながらず、山梨学院がカウンターからの速攻を狙う展開が続く。

 その後も効果的に交代を使って時間を消費していく山梨学院に対して、攻撃に焦りの見られる鹿島は最後までゴールを奪えず無得点のまま試合を終了。「激しいゲームになるという、予想していたとおりの展開だったが、選手たちが体を張ってしのいでくれた(山梨 長谷川大監督)」という山梨学院が、辛抱強い守りからしぶとく1点をもぎとって勝利をおさめた。

(文=藤原裕久)

▽第99回全国高校サッカー選手権
第99回全国高校サッカー選手権