山梨学院vs昌平(写真=小室功)

 唯一のゴールはキックオフから7分後のことだった。

  相手陣内の左サイドで得たFK。FWの野田武瑠(3年)がファーサイドへけり込んだボールを、身長187センチのCB一瀬大寿(3年)がヘッドで折り返す。これをFWの久保壮輝(3年)が頭で押し込んだ。

 昌平の両CBとGKは身長180センチ台とはいえ、ほかのスタメンを見ると、全体的に小柄であることに目をつけていた長谷川監督は「CKやFKといったセットプレーのチャンスを生かしたい」と考えていた。

 それがズバリ的中した格好だ。相手チームを分析したうえで、相対的に浮き彫りになった弱点をついた。

 かたや、優勝候補の一角にも挙げられていた昌平は前回大会と同様、ベスト8で姿を消すことになった。根気強く自分たちの攻撃サッカーを貫いたが、山梨学院の堅守に屈してしまった。

 “埼スタ”への切符を手にした山梨学院は初出場初優勝を遂げた2009年以来、11年ぶりのベスト4進出だ。ここまで4試合を戦い、失点は1。守備面での粘り強さが何といっても際立っている。

 対する帝京長岡(新潟)は3試合で7得点を挙げている攻撃的なチームだ(2回戦からの登場)。ひとりひとりのスキルが高く、展開力に秀でている。

 1月9日の準決勝第一試合は“盾”と“矛”の戦いになる。

(文・写真=小室功)

▽第99回全国高校サッカー選手権
第99回全国高校サッカー選手権