山梨学院FW久保壮輝が先制ゴール(写真=小室功)

“魂のこもった守備”と“高さ”で上回った山梨学院が優勝候補の昌平を撃破!

 相手のよさを消して、弱点をつく。

 勝利へのいわばセオリーだが、山梨学院高等学校(山梨)は見事なまでにそれを遂行し、“タレント軍団”と称される昌平(埼玉)を“ウノゼロ(イタリア語で、1対0の意味)”で退けた。

 「爆発力があって、局地戦がうまく、滑らかな攻撃を仕掛けてくる昌平に対して、どうやって食い止めるか。そこがひとつのポイントだったが、攻守の切り替えを早くし、できるだけボールホルダーに縦パスを出させないようにした。前から積極的に守備をして、相手のベクトルを後ろ向きにすることが重要だった。後半に入って押し込まれたが、コレクティブで、魂のこもった守備ができたと思う」(山梨学院・長谷川大監督)

 卒業後、Jクラブに進む3年生カルテットを擁する昌平。瞬間的なスピードと多彩なテクニックを兼ね備える須藤直輝(J1の鹿島入り)を中心にした攻撃陣を封じ込めることが山梨学院のミッションだった。

 特筆すべきは被シュート数だろう。公式記録上、前半は何とゼロに抑え、後半のそれもわずか3本にすぎない。数字が“魂のこもった守備”を裏付ける。

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▽第99回全国高校サッカー選手権
第99回全国高校サッカー選手権