V弾を決めたDF朝山大輝

 後半に入るとヌヴェールが主導権を握り始める。48分、投入されたばかりの9番FW大久保琉慎がPA内右寄りを抜け出し決定機を迎えるもシュートはGKにセーブされてしまう。その後も熊坂が起点となりヌヴェールが大阪桐蔭を押し込む。劣勢の大阪桐蔭が声を出し合い集中を切らさず無失点で耐え続けていると試合終盤、右サイドのスローインから中に入れたクロスボールがこぼれるとPA外中央左寄りから2年生の2番DF朝山大輝が左足で強烈なダイレクトボレーをファーサイドに突き刺しゴール。「気持ちよかった」という朝山のゴラッソで大阪桐蔭が先制するとこのまま大阪桐蔭が逃げ切り勝利した。押し気味にゲームを進めたヌヴェールにとってはゴールを決めきれなかった事で痛い代償を払わされる形となった。勝利した大阪桐蔭は10月25日ベスト8を賭けて常翔学園と対戦する。

 勝利した大阪桐蔭だったが劣勢の時間が多く、内容は選手たちにも満足いかないものとなった。試合後キャプテンのDF田中柊利は「初戦で緊張してるところもあって立ち上がりから声が出てなかった。試合を通して自分たちのサッカーが出来なかった」と悔やんだ。前線の身長の高い選手や技術の高い選手に付けて3人目が絡み、相手DFの裏を突くのが今年の大阪桐蔭のサッカーだ。しかし先ずは田中の言う「3年生全員が元気」この良さを出す事が自分たちのサッカーに持っていくやり方なのかもしれない。「いつもなら応援で元気づけてもらえる」が今年はコロナ禍で声援を送ってもらうことができない。Jユースにも勝てる自分たちのポテンシャルをどうやって発揮するか。これが選手権での今年の大阪桐蔭の鍵になりそうだ。

(文・写真=会田健司)

▽第99回全国高校サッカー選手権大阪予選
第99回全国高校サッカー選手権大阪予選