キッカー全員が決めた高川学園がPK戦の末に瀬戸内を下す!2019年度に続き、中国王者
歓喜の高川学園イレブン(写真=森田将義)
第13回中国高校サッカー新人大会の最終日が15日に行われた。決勝の高川学園と瀬戸内の試合は、両者譲らずPK戦までもつれたが、キッカー全員が決めた高川学園が勝利し、2019年度に続き、中国王者となった。
試合は開始すぐに動いた。前半4分に高川学園のセットプレーを瀬戸内が防ぐと、DF有吉勇人(2年)が前方にロングフィードを展開。「CKで(有吉)勇人が持ったら、走り出す準備はいつもしている」と、カウンター要員として高い位置に残っていたDF佰野航太(2年)が2人をかわし、ゴール右隅にシュートを決めた。続く8分には左からのクロスを反対サイドのDF松浦隆介(2年)が折り返し、FW梁俊虎(2年)が合わせたが、大型守護神のGK徳若碧都(2年)が好反応でブロック。続く右CKをDF平山歩夢(2年)が頭で合わせたが、枠を捉えることができない。好スタートを切ったものの、「全くやりたいことができなかった早く点を獲った後の2点目が奪えなかったし、自陣からのビルドアップが上手く行かず、蹴ってばかりになってしまった」(田中健二郎監督)。
対する高川学園は4-3-3で戦う瀬戸内のプレスを回避して攻撃を前進させていく。相手エリアでは今大会違いを見せた右MF林晴己(2年)と鋭い攻め上がりを続けた左SB奥野奨太(2年)がサイドから見せ場を演出。20分には林の右クロスをGKが弾いた所を、奥野が拾ってゴールを狙った。24分には林が右サイドで倒され、FKを獲得。MF北健志郎(2年)がゴール前に入れたボールをFW中山桂吾(2年)が頭で叩き込んだ。試合を振り出しに戻し、ここから攻撃のギアを更に上げたいところだったが、ここからは3日間で4試合をこなす疲れもあり、攻撃が単調に。江本孝監督は「お互いにもどかしい試合展開だった。互いの良さを消そうという戦いになってしまった。もっとサッカーがしかった」と振り返る。
高川学園 vs 瀬戸内(写真=森田将義)
後半は瀬戸内も疲労から判断能力が落ち、単調な攻撃が増えた。ベンチからは「メンタルゲームだぞ」との声が飛んだように、ここからは上手さよりも精神力が問われる展開となったが、両者共に集中力を切らさず、我慢強い守備を続けて行く。後半18分にはコンビネーションからゴール前を抜けたMF越田陽輝(2年)がシュートを放ったが、ボールは枠の上へ。32分にも平山のロングフィードをFW佐野竜眞(2年)が落とし、梁がシュートを放ったが、GKに阻まれた。
迎えた延長戦でも両者、見せ場を作ったが、2点目が奪えず、勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。迎えたPK戦では1人目と5人目のキッカーが枠を外した瀬戸内に対し、高川学園は4人のキッカーが成功。PK戦を4-3で制し、中国王者になったが、江本監督からは「中国で勝つのも大変だけど、全国で勝つにはもっとやらなければいけない」と喜びの表情が見られない。「ベンチでスタッフと『あれが足りないね。これが足りないね』と話をしていた。ハイプレスの回避の仕方やラストの精度の所、相手に蹴られた時の処理を良くしていきたい。4試合できたのはかなり成長できるポイントかなと思うので、一喜一憂せず頑張っていきたい」と続けた。
一方、瀬戸内の田中監督も「この時期に4試合できるのは大きい。ベスト4に残ったチームは、みんなガチャガチャでやってくれる所だったので有難かった。ただ、結果を出さないと記憶に残っても記録に残らない。勝って上に行き、広島を変えるために何とかしたかった」とコメント。例年以上に熱いバトルが繰り広げた中国新人での経験をインターハイと選手権に繋げられるか注目だ。
(文・写真=森田将義)
▽第13回中国高等学校サッカー新人大会
第13回中国高等学校サッカー新人大会