「人生で最高の感触」18番MF石井陽大のスーパーミドルで追い付いた桃山学院が優勝候補の履正社をPK戦で下し8強入り!

同点ゴールを決めて喜ぶ桃山学院イレブン

 5月30日、令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選の6回戦が行われ、桃山学院履正社の試合は1-1で突入した延長戦でも決着が付かずPK戦を4-2で制した桃山学院が勝利した。勝利した桃山学院は準々決勝で第98回全国高校サッカー選手権大阪予選王者の興國と対戦する。

 「人生で最高の感触でした」と本人が振り返った18番MF石井陽大のスーパーミドルが決まった瞬間ゲームの流れが変わった。試合開始から桃山学院が攻勢に出る。しかし9番FW廣野大河が前線で起点になり始めると流れは履正社に傾く。そして12分、そのFW廣野が右サイドからドリブルで仕掛けボックス手前で倒されFKを得ると、角度的に中に合わせるだろうと誰もが思った位置からキッカーのレフティー10番MF那須大雅が直接ニアサイドを狙い、シュートがゴールに吸い込まれる。これでプリンスリーグ関西で現在首位を走る履正社が試合の主導権を握ると思われた。しかしその直後の14分、桃山学院は右サイドのFKからのこぼれ球に反応したMF石井がゴール正面から右足を振り抜くと、ボールは履正社12番GK平尾駿輝が伸ばした手に触れることなくゴール右上に突き刺さった。これで流れを引き戻した桃山学院は「大阪を突破するにはそこは逃げれないファクター。普段のトレーニングでやってきた事が履正社さん相手にも出来た」(桃山学院・堀佳津之監督)という球際の戦いでも履正社と互角に渡り合う。

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 前半を1-1で折り返すと、先に勝ち越し点が欲しい両チームが積極的にシュートを撃ち合う。途中、履正社に流れが傾きそうになると桃山学院は19番MF下代康生を投入し前線から猛烈なプレスをかけ主導権を渡さない。一進一退の攻防が続いて終盤になると、両チームが気持ちをぶつけ合うプレーが各局面で繰り広げられどちらも譲らない。そして前後半70分で決着がつかず試合は延長戦へ。

先制ゴールを決めた履正社10番MF那須大雅

 延長に入り履正社が攻勢を仕掛けるも、桃山学院は「みんなが体を張って守ってくれた」と12番GK伊井大陽が言うようにDF陣が気迫のこもったプレーでゴールを死守。履正社8番MF高橋陸のミドルシュートもGK伊井のファインセーブで防いだ。桃山学院も守っているだけではなく7番MF末高敬太のドリブル突破からチャンスを作る。

 延長後半に入り、2戦連続のPK戦を避けたい履正社が更に猛攻に出る。しかしFW廣野の決定機も桃山学院GK伊井に止められてしまい、終了間際の左CKからの決定機でも4番DF寺田侑平のヘディングシュートは枠の外へ。90分で決着が付かず勝負はPK戦へ。PK戦は「PKは得意なので『自分が止めるから(安心して)蹴って来い』と声を掛けたGK伊井の活躍で桃山学院が4-2で勝利。桃山学園が優勝候補の履正社を下し準々決勝に駒を進めた。

 桃山学院は5回戦で守備の要であるCBの矢野翔大が怪我をしてしまいこの試合は欠場となってしまった。しかし堀佳津之監督が「(矢野と)遜色なくやってくれた」と評価した2番DF平良隼資が体を張って見事に大仕事をやってのけた。「大阪を勝ち抜くには2チーム分の戦力が必要」と堀監督が言うようにこの連戦は11人だけでは乗り切ることが出来ない。途中から出てくる選手も期待通りの活躍をみせた。桃山学院は履正社相手に互角に渡り合った球際はもちろんの事、「ボールを止めることにこだわっている」ことで履正社の強いプレッシャーからも蹴って逃げることなく自分たちの時間を作ることが出来ていた。「格上の履正社さん相手に出来たのはこの子たちの成功体験として大きい」と堀監督が言うように選手たちは大きな自信を得たことだろう。「僕たちは全国を目指しているので次も絶対勝ちたいです」(GK伊井)準々決勝も強敵興國との対戦になるが桃山学院が全国に向けて突き進む。

(文・写真=会田健司)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選