仙台育英FW村井創哉がゴールを決め、反撃ののろしを上げた(写真＝小林健志)

　高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ東北は7月10日、第11節5試合が行われた。マイナビベガルタ仙台泉パークタウンサッカー場ではベガルタ仙台ユースと仙台育英高の対戦が行われた。7月7日も仙台育英高多賀城校舎グラウンドで同じカード(延期となっていた第2節)があり、その時は仙台ユースが2-1で勝利した。中2日で再び両チームが戦うこととなった。

　前半からゲームは激しく動く。7分FW小野獅道(2年)が相手守備陣の連係ミスからボールを奪ってゴールを決め、7日の試合に続いてこの試合も仙台ユースが先制した。さらに仙台ユースは35分左サイドから来たボールに反応したのはまたしても小野。「自分の上にボールが来て、後ろのDFが自分に食いついていたので、上に浮かしてボレーを打ちました」とこの日2点目となるゴールを決めて、2-0と仙台育英を突き放した。

　しかし仙台育英も黙ってはいなかった。2点差となった直後の36分この日6月の負傷後初の先発出場となったFW佐藤遼(3年)が中央へ突破を仕掛け、パスを出したのはFW村井創哉(3年)。「出させてもらっているのに点が取れていませんでしたが、やっと決められました」という思いのこもったシュートがゴールを突き刺し、1点差に詰め寄った。勢いに乗った仙台育英は41分、右サイドで鋭いオーバーラップを見せていたDF石田隼也(3年)のクロスが風に乗って相手GKの手をかすめてゴールへと吸い込まれ、同点に追いつき、前半は2-2で終了した。

【フォトギャラリー】仙台育英 vs ベガルタ仙台ユース

仙台ユースFW小野獅道は2ゴールを挙げる活躍。豊富な活動量で守備でも貢献(写真＝小林健志)

　　後半の入りも勢いに乗った仙台育英がペースを握り、56分村井を仙台ユースGK佐藤清弥(2年)がペナルティエリア内で倒し、PKのチャンスを得た。主将MF島野怜(3年)が落ち着いてゴール左隅にPKを決めて逆転に成功した。

　しかし連勝を狙う仙台ユースも再び攻撃の勢いを取り戻し、71分途中出場のFW加藤壱盛(3年)が相手陣内へと突破を見せ、FW工藤紫苑(3年)にボールが渡る。「最初オフサイドラインにいたのですが、頭を使ってオフサイドにかからないようにしました。自分はボールに反応できるように準備していましたので、(加藤)壱盛の落としをもらって決められて良かったです」と工藤が落ち着いてゴールを決めて再び同点に追いついた。その後両チーム勝ちたい気持ちを前面に出し、ゴールへと迫ったが、あと一歩でシュートを決めきれずそのまま試合終了。3-3の引き分けに終わった。

　仙台ユースは7日の仙台育英戦でプリンスリーグ東北初勝利を挙げ、連勝を狙って挑んだ試合だったが、ミス絡みの失点もあって、勝点1にとどまった。木谷公亮監督が「チームとして背後を優先した中でも、もっと相手の状況を見て判断して、しっかりボールを握って前進することができれば、試合展開ももう少し落ち着くのかなと思います」と語る通り、プレー強度が高まり、相手の背後を狙う意識が高まった反面、本来チームとして高めたいビルドアップの部分で課題が残り、落ち着かない試合となった。「チームとしてやりたいことは明確になってきたと思います。それを練習から意識し続けて試合に生かせるようにしていきたいです」と工藤が語る通り、練習で磨きをかけているパスワークを試合でも見せたいところ。7月25日に開幕する日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会前は、7月17日の盛岡商高戦を残すのみ。この試合で内容が伴った結果を出せるかどうか注目したい。

　一方の仙台育英も城福敬監督が「ディフェンスに力が無く、ルーズにしてちょっと間を空けてしまってDFがいるだけになっていました」と語った通り、守備でのちょっとしたミスから崩れる場面が目立ち、こちらも8月開幕のインターハイに向けて課題が残る内容となった。主将の島野も「(インターハイ初戦で対戦する)静学は個人技がうまくて強く、ボールを握ってきますので、耐える部分や守る部分での取り組みを変えていきたいです」と初戦の静岡学園戦を見据え、さらにプレー強度を高め、課題の守備を強固にしたいと意気込んだ。収穫はようやく90分プレーできるようになった佐藤遼と村井のコンビネーションが良かったこと。村井は「(佐藤)遼とはずっと2トップを組んでいてわかり合っています」と語る。佐藤遼のコンディションがさらに上がってくれば、決定力はさらに上がっていくだろう。今後尚志、聖和学園と東北のライバルと戦う中でさらにチームの完成度を上げ、インターハイ静岡学園戦に向けて良い状態に持って行きたい。

(文・写真＝小林健志)