瀬戸内がライバル広島皆実に快勝し逆転優勝の可能性残す
瀬戸内MF正法地大(写真=森田将義)
プリンスリーグ中国は27日に第17節を実施。広島皆実と瀬戸内の一戦は、DF伯野航太(3年)の先制点を皮切りに4点を奪った瀬戸内が4-0で勝利した。
「皆実は県内で絶対に負けたくない相手なので、試合前も気持ちが入っていました」。と話すのは瀬戸内MF正法地大(3年)。近年、県内の覇権を争うチーム同士の一戦とあり、選手の気持ちは十分。特に、広島皆実にとっては2週間前に行われた選手権予選の決勝で負けた相手とあり、この一戦にかける想いは強かった。
立ち上がりから、自陣からのボール回しと前からのプレッシャーによって試合の主導権を握ろうとしたが、大学受験などのため、選手権予選の主力からMF田部健斗(3年)ら4人が不在となった影響は大きかった。自陣でパスは繋がるものの瀬戸内のゴール前まで運べず、前半のシュートは0本。守備も高い位置で奪えず、空いた中盤の脇を上手く利用され、サイドを突かれ始めた。
試合が動いたのは、前半23分。正法地、FW佐野竜眞(3年)と中央を繋いだボールを右のスペースに展開すると、抜け出したDF松浦隆介(3年)が中にクロス。最後は伯野が右足で合わせて、瀬戸内が先制した。上手く行かない部分はあったものの、正法地が「前半の飲水前に1点獲れたのが大きかった」と振り返る通り、瀬戸内としては理想的な展開で試合を折り返した。
広島皆実 vs 瀬戸内(写真=森田将義)
だが、良い流れが瀬戸内の歯車を微妙に狂わせた。自陣から落ち着いてボールを動かすことで広島皆実を消耗させ、最後の10分、15分で仕留めるのが描いていたゲームプラン。だが、「前半相手のシュートが1本だったので、選手に欲が出てしまった。獲りに行こうというテンションになった結果、攻撃は速くなってミスが増えた」(田中健二郎監督)。ボールロストから、自陣まで運ばれる場面は増えたが、DF有吉勇人(3年)らDF陣が最後の所をやらせない。FW佐野竜眞(3年)ら前線の選手もプレッシングを続け、無失点のまま試合を進めていく。
瀬戸内に2度目のチャンスが訪れたのは、後半13分。有吉の縦パスを受けたFW澤田佳憲(2年)の落としを、中にしぼった松浦がゴール左隅に決めて2-0に。16分には高い位置でボールを奪ったMF川本琉聖(3年)のパスから、MF越田陽輝(3年)がゴールネットを揺らし、3点差まで引き離した。試合終了間際にもMF佐竹佑太(1年)が決めて、4-0でタイムアップを迎えた。
ライバルからの勝利は、首位・米子北を追いかける意味でも大きい。引き分け以下だと優勝の芽がなくなる一戦だが、この試合を勝ったことで、最終節まで逆転優勝の可能性が残った。最終節で瀬戸内が上回るためには、米子北が黒星、瀬戸内が白星という条件が付くが、「真剣勝負の場は1試合でも多くやっておきたい。選手権に向けた強化の場に充てたい」と望みは捨てていない。全国に向け万全の準備を進めるためにも、最終節も白星を狙う。
対する、広島皆実にとっては悔しい黒星。今季は瀬戸内に4連敗を喫するなど結果が続いたまま、最終節を迎えることになった。「今年は自分たちのサッカーが出来ても、結局ゴールを決めきれなかったり、最後の最後で失点する勝負弱さが1年間続きました。後輩たちには、焦れずに自分たちがやってきた繋ぐサッカーをやってもらいたい」と話すのはDF松永琉太(3年)だ。やってきた事が間違いではなかったと証明するためにも、今年ラストは白星で飾るつもりだ。
(文・写真=森田将義)
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