今治東、土壇場で香川西に追いつかれ白星を逃す

四国学院大学香川西 vs 今治東中等教育学校

 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2021四国は、25日に延期となっていた5節を実施。四国学院大学香川西今治東中等教育学校の一戦は、2-2の引き分けとなった。

 四国各県の新型コロナウィルスの感染者増加に伴い、9月に行うはずだった4試合が中止となった。各チームとも対外試合が禁止となり、練習と紅白戦で再開に向けた準備を実施。選手権に向けてのチーム作りの難しさはあるが、チームとして狙う形を浸透させる期間として前向きにそれぞれが取り組んできた。

 谷謙吾監督が「どこから攻めるのかがトレーニングでやってきたのが、形になった」と振り返った通り、序盤に苦しい中でも積み上げてきた成果を発揮したのは今治東。前半7分には、FW髙須賀陽斗(3年)、MF髙橋周斗(2年)と繋いでCKを獲得するなど、中央での素早いパス回しから、サイドや相手DFの裏を効果的に攻め込み、チャンスを作っていく。試合が動いたのは、16分。左サイドを仕掛けた髙橋が倒され得たFKをMF市川栞安(3年)がゴール前へ。反対サイドのMF白川虎太郎(3年)が合わせたこぼれを髙橋が押し込み、今治東が先制した。

 追いかける展開を強いられた香川西は、前節の徳島ユース戦で主将のMF野中瞬生(3年)が怪我した影響もあり、セカンドボールで後手を踏み、攻撃が落ち着かない。それでも、奪ってから素早く前線へと展開し、ゴールへの積極性が光るFW清水祐哉(3年)と田中輝里十(1年)の打開力を引き出す形で、反撃のチャンスを伺った。同点に追いついた29分の場面は、まさにそういった形。低い位置で奪ったボールを田中が前線で受けると、左へ展開。上手く走り込んだ清水がゴールの隅に流し込んで、試合を振り出しに戻した。

四国学院大学香川西 vs 今治東中等教育学校

 後半に入ってからは、香川西の勢いが更に増す。「サイドのMF山田晃市(2年)とMF菊池亜門(2年)になかなかボールがつかなかったので、それなら簡単に前を狙おうと声を掛けた」と振り返るのは、大浦翔コーチ。前半よりも推進力溢れる2トップを引き出す形で、押し込む形を増やしたが、後半8分には市川の左クロスから、高須賀にヘディングシュートを決められ、再びビハインドを背負った。

 このまま今治東が流れを引き寄せるかのように思われたが、主将のDF石山瑛(3年)が「チャンスは作れたけど、決めきれないのが課題。自分たちの流れに出来なかったのも反省点で、失点後の切り替えが上手くいかなかった」と語った通り、前半同様得点後が続かない。終盤は次々に交替カードを切って、2点目を狙いに出た香川西の勢いに飲まれた。44分には左サイドでボールを持ったMF西垣秀映(3年)を追い越す形で、菊池が左からクロス。ゴール前に入った清水が、頭で合わせて再び追いつくと、直後にタイムアップを迎えた。

 土壇場で白星を逃す形となった今治東は、谷監督が「あそこで決められるのが香川西の強さ。慌てて奪いに行ってしまったけど、時間をかけて獲りに行けば良い場面。そういう試合勘がまだダメだった」と反省を口にしたが、随所で良い形を作るなど収穫を感じる試合内容だった。対する香川西も、大浦コーチ、選手共に課題を述べる展開だったが、ゴールの場面は共に迫力十分で選手権への期待を感じさせる物だった。共に勝点1以外に得た成果を、今後の試合に繋げてくれるはずだ。

(文・写真=森田将義)

▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 四国
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