年代別日本代表候補を擁する神村と国見の一戦は神村に軍配!

国見 vs 神村学園(写真=藤原裕久)

 4月10日に行なわれた高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州の第2節で、国見神村学園が激突。神村が大迫塁と福田師王、国見が緒方要と北村一真と、ともに2名の年代別日本代表候補を擁する両校の一戦は、神村が2-1で国見を振り切り、2月に行なわれた九州新人戦準決勝で敗れた借りを返すことに成功した。

 プリンスリーグ九州で強者に位置付けられる神村に対し、国見は高い位置からではなく、ミドルブロックに引き込んでからプレスを狙う守備を展開。ボールを保持する神村は、大迫塁を起点に、左サイドから抜水昴太と篠原駿太が再三に渡って突破を仕掛け、中央では福田と畠中健心が国見DFの背後を突いていく。しかし国見はチーム全体での守備を徹底。12分には福田、37分には大迫にゴール前でシュートを許すも、緒方要の好セーブで失点を許さない。

 統率された国見の守備をいかに破るかが課題となった神村だが、先制点は後半開始早々の47分。右サイドから再三に渡ってチャンスを作ると、ゴール前の混戦から畠中がシュートを押し込み1-0。さらに57分、国見DFの背後を突いた篠原がグランダーでファーサイドギリギリにゴールを決め、点差を広げることに成功する。

 レギュラー陣に故障者が多く、0-0の時間帯を長くしたかった国見は、苦しい展開へと追い込まれるが、神村が笠置潤と若水風飛の両サイドバックを下げた69分から、ボールを奪ってからの切り替えの早いカウンターで反転攻勢を開始。74分、背後へ抜け出した本川瑠空のゴールで1点差に追い上げると、その後もボールを奪っての鋭い攻撃で神村ゴールへ迫っていく。

国見 vs 神村学園(写真=藤原裕久)

 その後も出足鋭くプレスをかけて、攻撃へつなげる国見は、コーナーキックやスローインで再三に渡って攻め込んでいくが、神村は大迫が下がった位置でボールをキープするなど落ち着いた対応を展開。最後まで国見の攻撃をしのぎきり2-1で試合を終了。プリンスリーグ九州開幕2連勝を飾った。

 試合後、国見の木藤健太監督が「前半はゲームプランどおりでした」と振り返ったとおり、故障者が多くベストメンバーの組めない国見は、神村のボールに持たれることを想定して戦った。そういう意味では、大迫・福田を起点に攻め込まれても無失点で折り返した前半は、国見のゲームと言って良かったかもしれない。

 だが、攻めながら得点が取れない中でも、神村に焦りや動揺は見られなかった。逆にピッチのいたる所から「もっとリズム良く」、「そこ、狙われているぞ」という神村の選手たちの声が聞こえ続けていた。中でも、声・プレー・姿勢などあらゆる面でキャプテンシーを発揮した抜水の存在は大きく、苦しいシーンでもチームを鼓舞し引っり続けていた。スタメン11名中2年生以下が5名の国見とは、この部分が差となったのかもしれない。「ああいう選手がウチにもほしいなと思いました」と木藤監督に言わしめたとおり、優れた個を統率するリーダーの重要性を感じさせた試合だった。

(文・写真=藤原裕久)

▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州