V・ファーレン長崎U-181年生FW七牟禮蒼杜の2発で日章学園を撃破

2ゴールを挙げたV・ファーレン1年生FW七牟禮蒼杜(写真=藤原裕久)

 4月29日に行われた「高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州」 第4節で、V・ファーレン長崎と日章学園が対戦し、これまでフィニッシャー不在に苦しんでいた長崎が、1年生FWの2得点で日章学園を2-1で下した。

 試合後、V・ファーレン長崎を率いる原田武男監督が「背後を狙うことに関しては、パスの出し手と受け手に共通理解で持たせているので、それが1点目は出た」と語ったとおり、試合は長崎が狙いどおりの一撃で試合はスタートした。

 前に仕掛ける日章の勢いをミドルブロックを組んでからの冷静な守備で対応し、ボールを保持することに成功した前半7分、左サイドからの背後を狙うボールに抜け出した七牟禮蒼杜が、GKの位置を見て頭上を越えるループシュート。これまで途中出場のみだった1年生FWが初スタメンで技ありの一撃を決めて長崎が先制に成功する。その後も遅攻と速攻、サイドと中央を使い分けていく長崎がゲームをコントロールする時間が続いていく。

 対する日章は、木脇蓮苑と葭岡遥来のエース2人が細かくポジションを替えながら、縦への仕掛けで反撃を狙っていくが、攻守の切り替えが早く、対人に厳しい長崎の守備を崩せず0-1のまま前半を終了。

 後半から藤本晃士、藏屋明徹を投入し流れを変えようとする日章だが、46分に大山晃生からのパスを受けた七牟禮が、ヘディングで2点目を奪取。前後半の立ち上がりに得点を奪われ2点差とされた日章は、ここからリスクをかけた攻撃を展開していくが、長崎のGK首藤光翼、CB中平優汰の体を張った守り突破できないシーンが続く。60分には木脇のパスで裏に抜け出した石﨑祥摩がエリア内で倒されてPKを得るが、木脇のPKはGK首藤のファインセーブでノーゴール。

 長崎の厚い守りにどうしても得点の奪えない日章だが、諦めずに前線へボールを送り続けた80分、エリア内で長崎の守備を支えていた中平の手にボールが当たったとして、日章がPKを獲得。これを葭岡が決めて1点差とした日章は、追い上げられたプレッシャーのためかミスの見え始めた長崎に対して、長いボールを徹底的に入れ、セットプレーで何度もゴールに迫っていくが、長崎も粘り強い守備を発揮し、日章の攻撃をしのぎきり試合はそのまま終了した。

 試合後、勝利した原田監督は、この日2ゴールを決めた七牟禮に対し「僕らの予想以上に活躍してくれた」と目を細めた。スケジュールの関係で他チームより1試合多く試合を消化している長崎の成績は、ここまで3勝1敗1分。開幕戦でシュート2本で2点を奪われて敗れたアビスパ福岡戦、チャンスを決めきれず無得点ドローに終わった九州国際大附属高校戦と、これまで試合ではアタッキングサードから先のプレーで精度や質が課題となっていただけに、苦戦はしたものの今後の好材料を得た試合と言えるだろう。

 一方、敗れた日章学園は多くの時間で長崎の前に守勢に回ってしまい、思うような攻撃を展開できなかった。だが、終盤に猛攻を見せたように本来の攻撃力は高く、木脇・葭岡といった攻撃のタレントもそろっている。今回の敗戦と不用意な失点をいかに今後にいかしていくのか、それによっては更なる上積みが期待できそうだ。

(文・写真=藤原裕久)

▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 九州
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