凄まじい強度の試合を見せたサガン鳥栖U-18が無敗のガンバ大阪ユースを3発撃破!

ガンバ大阪ユース vs サガン鳥栖U-18

 高校年代最高峰の高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2021 WEST第9節が7月4日に行われ、無傷の開幕3連勝中の2位ガンバ大阪ユースと5位サガン鳥栖U-18の一戦は、アウェイのサガン鳥栖U-18が3-1で勝利した。

 サガン鳥栖U-18田中智宗監督が「プレミアリーグ一年生としてガンバさんに胸を借りるつもりで」と謙遜したが、サガン鳥栖U-18イレブンは"一年生"とは思えない堂々とした内容でガンバ大阪ユースに打ち勝った。トップチームに帯同しているU-24日本代表DF中野伸哉や、オーストリア2部インスブルックのセカンドチーム(同3部)の練習に参加しているFW二田理央を欠いてもガンバ大阪ユースを上回る圧巻の強度の高さをみせた。

 ガンバ大阪ユースは3戦7発で得点王争いを独走している11番FW坂本一彩を起点に攻撃を展開。対するサガン鳥栖U-18はサイドを中心に攻撃を組み立て、前日サンフレッチェ広島戦でJ1リーグデビューを果たした14番MF福井太智が左サイドから仕掛けてアクセントを付ける。鳥栖は16番FW大里皇馬が前線で起点になる機会も多く押し気味に試合を進める。

 序盤は様子を見ていたのか、鳥栖は20分頃から機を見てハイプレスを発動。G大阪もこれに慌てることなく高い個人技で対抗する。両チームが局面で激しいバトルを演じる中、意外な形で試合の均衡が破れる。34分、鳥栖が左右にボールを動かしながら前進すると、バイタルに入ったところで5番MF坂井駿也がミドルシュートを放つ。このシュートはGK正面に飛んだが、42番GK浦山泰吾がこれをまさかのキャッチミス。転々と転がったボールがゴールに吸い込まれ鳥栖が先制に成功。その直後にも鳥栖は左サイドをMF福井の突破から決定機を作るもこれはものに出来ず1-0で前半を折り返す。

 後半、同点に追い付きたいG大阪が前に出たところを鳥栖がカウンターで仕留める。52分、鳥栖は中盤の混戦でボールを奪った8番MF楢原慶輝が縦に持ち込みボックス右深くまで侵入。楢原は右足のシュートフェイントでDFを剥がし左足に持ち替えるとそのまま左足を振り抜き逆サイドにシュートを突き刺した。

 これで2点のビハインドとなったG大阪はここから怒涛の攻撃を仕掛け、FW坂本が連続してシュートを放つ展開が続くと64分、ボックス内でボールを受けたFW坂本は相手DFが人数を掛けて固めたゴール前で巧みにコントロールしDFを外しながら右足でシュートをゴール左端に決め切った。FW坂本はこれで4戦連発で今季8ゴール目となった。

 一点差に迫ったG大阪は焦らずボールを保持しながら相手を揺さぶりゴールに迫る。途中投入された20番FW鈴木大翔も球際で強さをみせるが、鳥栖はここでも相手を上回る球際の強さを見せ、ボールを奪った際にはMF福井やMF楢原が終盤とは思えないスプリントを繰り返す。すると85分、MF福井がボックス右から右足で強烈なシュートを放つと、GKが弾いたところを途中出場の9番FW小西春輝が詰めてゴール。これで2点リードに戻した鳥栖がこのまま逃げ切り試合終了。

 勝利したサガン鳥栖U-18はこれで勝ち点を10に伸ばし、暫定でガンバ大阪ユースをかわし4位に浮上した。試合後田中監督は「ガンバさんは力があってチャンスも沢山作られていますし、今日は少しだけうちの選手の方が戦えたのかなと思います。(トップや海外に挑戦して)誰かが抜けることはあるんですがそれはとても良いことなので、誰かが抜けたら出てる選手が頑張ってくれて、その成長が見れてうれしかったです」と試合を振り返った。

 この試合無尽蔵のスタミナで縦横無尽に走り回り2点目のゴールも決め「彼はチームで1、2を争うほど走れます。何本も連続で、90分通してスプリント出来る」と田中監督も絶賛したMF楢原は「絶対に勝ちたい試合だったので3-1で勝てことは大きい」と安堵した表情を見せた。コロナの影響でプレミアリーグの開催も消化できていない試合もあるが、「そういう時だからこそ自分のウィークポイントを見つめ直すことが出来る」とコーチやスタッフ共に課題に取り組んでいる。「負けない自信もあるし、チームとしても自信がついてきています。試合は続いていくし、クラブユースもあるので高みを目指していきたいと思います」と先を見据えた楢原慶輝の今後の活躍に注目だ。

(文・写真=会田健司)

▽高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグ2021 WEST
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