ポゼッションの成立と組織的守備の関東一の一戦は、攻め抜いた成立がベスト4に名乗りをあげる!

T1リーグ勢対決、成立学園 vs 関東一(写真=菊地亮)

 4月24日、令和3年度関東高校サッカー大会 東京都予選準々決勝の全4試合が行われ、第2試合では、成立学園関東一が対戦。互いの良さが存分に発揮された試合は、終盤の劇的な連続ゴールで追いついた成立学園が、勢いをそのままに延長戦を制しベスト4へと進んだ。

 成立学園の先発は以下の通り。GK1西大輔(3年)、DF2山崎夏樹(3年)、DF3田中佑典(3年)、DF4丸山寿潤(3年)、DF5佐藤由空(2年)、MF6関根伶央(3年)、MF7陣田成琉(2年)、MF8大崎日向(3年)、MF9坂尾一汰(3年)、FW10吉長由翔(3年)、FW11萩原大世(3年)。対する関東一は、GK1白銀洋次郎(3年)、DF2林尚樹(3年)、DF4池田歩柊(2年)、DF3矢端虎聖(2年)、DF8若松歩(3年)、MF10肥田野蓮治(3年)、MF7藤井日向(3年)、MF14神山寛尚(3年)、MF11坂井航太(3年)、FW18本間凛(2年)、FW9熊田龍輝(3年)がスターティングメンバーに名を連ねた。

 成立学園は、GK1西もビルドアップに加わり、丁寧にボールをつなぎながら攻撃的スイッチの入れどころを探る。一方、関東一は、3つのラインをコンパクトに保ち付け入る隙を与えない。試合開始から、両者ともに志向するサッカーを高いレベルで披露し、終始締まったゲームを展開する。その良さを先に結果へと結びつけたのは関東一。成立学園はボールをつなぎはするものの、なかなか最終ラインから効果的なタテパスを前線へ入れることができない。業を煮やして楔のパスを打ち込むも、関東一の守備網にからめ取られ縦に早い攻撃を許してしまう。そして前半10分。MF11坂井が左サイドからドリブルで中へ切れ込みシュート。一度は阻まれるもMF14神山が押し込み関東一が先制。その後も、27分、30分とFW9熊田が立て続けにシュートを放つなど、関東一が優勢さを保ち前半を終える。

 後半はまったく五分の展開。アタマから変わって入った成立学園のMF22斎木大和(3年)が攻撃のリズムを作り、頻繁にポジションチェンジを繰り返しながら関東一ゴールに迫る。ただ、関東一も前半同様3ラインをコンパクトに保ち、揺さぶられても運動量豊富に細かくポジションをスライドさせながら穴を作らない。すると後半34分、一瞬の隙をつき最終ラインの裏へ抜け出たMF11坂井がゴールを沈め関東一が追加点を奪う。これで勝負は決したかに思われたが、アディショナルタイムにドラマが待っていた。成立学園は、右サイドからのグラウンダーのボールをダイレクトで合わせゴール右隅へねじ込み1点差に詰め寄ると、MF22斎木がディフェンスライン裏に出したボールを、同じく途中出場のMF20山崎理央(3年)が折り返し、最後はヘッドで押し込み同点ゴール。直後に終了のホイッスルが鳴り、勝負は延長戦へともつれ込んだ。

 延長も勢いは成立。延長前半3分にはMF8大崎が流れの中から、6分にはFKからFW10吉長がシュートを放つ。延長後半に入っても勢いは衰えず、DF4丸山のロングスローから関東一ゴールを脅かす。そして、延長後半9分、ルーズボールを拾ったMF20山崎がFW10吉長へスルーパス。PA内で切り返しゴール前へラストパスを送ると、最後はMF19柏田が値千金の逆転ゴールを決めて勝負あり。手に汗握る一戦は攻め抜いた成立に軍配があがった。関東一も負けはしたものの、東京都リーグ(T1リーグ)で凌ぎを削ってきた実力を遺憾なく発揮。前評判に違わぬ好チームで、今後の成長に期待を抱かせた。

(文・写真=菊地亮)

▽令和3年度関東高校サッカー大会東京予選
令和3年度関東高校サッカー大会東京予選