指揮官も「見事」と唸るセットプレーから2発。DF戸部悠太が2戦連続の先制弾、DF宇山友貴が正確なキックで全ゴール演出

浦和南は成徳深谷との難局を2-1で制し、ベスト8進出(写真=石黒登)

 リーグ戦では3-1で浦和南が勝利していたものの、「うちに対して向こうもずいぶん研究していたと思います」と野崎正治監督。この試合でハットトリックを決めていた10番のMF大里直也に対し、成徳深谷はボールを持った瞬間に複数枚が必ず寄せるなどして自由にさせなかった。

 それでも浦和南は前半9分、DF宇山友貴の左コーナーキックをCBの相方であるDF戸部悠太が頭でゴールへ。2回戦の細田学園戦に続く、2戦連続となる先制弾を決めて試合を動かした。

 追う展開となった成徳深谷はMF高橋快歩の懐の深いドリブルやMF日向岬のスピード突破からチャンス。すると後半9分、FW魚谷響平のポストプレーから日向がエリア左を深く抉ってグラウンダーのクロスを送り、こぼれ球をDF辻本晴也がプッシュして試合を振り出しに戻す。

 その後も勢いに乗る成徳深谷が押し込む展開となったが、浦和南は「(昨年の選手権では)自分は狭山ヶ丘戦の時に足を攣らせてしまっていた。その悔しい想いというのがあるので絶対に1試合を通してやり切るということは強く心に思っていました」という戸部や宇山のディフェンスラインを中心に崩れ切らず最後の部分で粘り。逆にここを耐えると延長前半2分、宇山の右コーナーキックをニアサイドでDF田邉陽介がヘディングで突き刺し、これが決勝点となった。

 この日はセットプレーで2得点。これには野崎正治監督も「見事でしたね」と選手たちを称えた。

 1点目は前半9分、DF宇山友貴の正確なインフロントのキックに合わせたのは互いの特徴を誰よりも知る相方のDF戸部悠太。「キッカーの宇山が本当にもう自分が触るだけのボールをくれたのであとは決めるだけだった」。「自分の武器は空中戦。そこは埼玉でてっぺんを取ろうと思っています」と意気込むヘッダーが細田学園戦に続く2試合連続の先制ゴールを決めて先行した。

 その後同点とされたが、迎えた延長前半2分、左コーナーキックに今度は宇山は中弾道の速いボールを選択。「相手がゾーンで守ってきているのでニアのスペースが空くと思った。サインプレーもみんなで話し合ってあそこが空くと思って蹴りました」。これに「朝の練習でも良い感じはあった」という右サイドバックの田邉陽介が点で合わせてセットプレー2発で勝利を掴んだ。

 チームとして大事にしているセットプレーは選手たちでアイディアを出しながら積み上げている。キッカーを務める宇山は「この関東大会が始まってからチームで1週間に一個くらい、グループを作ってセットプレーを新しいのを出していこうとなって、ほぼ毎週練習もしていましたし、朝練とかで自分たちで集まってというのもあったので練習していた形ができた」と胸を張る。

 チームの得点源は10番のMF大里直也だが、そこが封じられたとき得点できるパターンを持っているというのは大きな強みだ。準々決勝の西武台戦は成徳深谷戦以上にボールを持たれる時間が長くなることが予想される中でセットプレーはカギを握りそう。「相手の隙を突いて自分が決めて、自分が守るくらいの勢いでいきたい。格上なので持たれる時間は多いと思うんですけど、それに耐えて、その一発を狙えたらと思います」と、戸部は3戦連続となる“一発”を見据えた。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽令和3年度関東高校サッカー大会埼玉予選
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