連続PKストップで勝利に貢献。正智深谷GK小櫃政儀「昌平に勝つために関東大会に出て実力をつけたい」

武南10番櫻井敬太(写真=石黒登)

 まず先にスコアを動かしたのは浦和学院。最初の猛攻を耐えてショートパスでリズムを作ると前半11分、DF相木海翔のコーナーキックをファーサイドでMF武内汐音が決めて先制した。

 しかし正智深谷もすぐさま反撃。失点から5分後、縦パスからこちらもコーナーキックを奪うと、MF池上恒大のクロスに今年主将を務めるMF寺田海成がヘディングで合わせ追いついた。

 その後は正智深谷が前線からの守備からの鋭いショートカウンター、今年の特徴のひとつであるサイド攻撃を起点に押し込む形に。前半終盤にはセットプレーから連続してゴールに迫る。

 一方、当時FC東京の特別指定選手だったFW田中和樹(法政大4年)らを擁した2017年以来の4強を狙う浦和学院も集中した守備。キャプテンのMF大澤武宏が中盤から声でチームを引き締め、最終ラインの相木が予測の高さを生かしてボールをカットするなど追加点は許さない。

 後半も正智深谷がペースを握ったが、1-1の時間が長くなるにつれ攻め急ぎから攻撃が単調になる場面も。「早く点が取りたいという気持ちもあって早く中に入れてしまったり、もう少し角度のあるボールの方が合わせやすいんだけど、普段はあまり使わないような難しい縦のボールを入れていた」と小島時和監督がいうように、最後の部分でなかなか仕留めきることができず。

 80分で終わらなかった試合は延長戦でも決着がつかずPK戦に突入。正智深谷はGK小櫃政儀が相手の1、2本目を連続してセーブすると、4人全員が決めて難しい試合を締めくくった。

正智深谷GK小櫃政儀(写真=石黒登)

 難しい試合展開の中で迎えたPK戦、正智深谷の守護神・小櫃政儀は相手の1本目と2本目を連続してセーブし勝利に貢献。指揮官も「キーパーで勝ったようなもの」と賛辞を惜しまなかった。

 「1失点目は自分の判断ミスから生まれてしまった。その後、チームメイトが追いついてくれた中で、チームに貢献するためにも絶対に止めてやるという気持ちを持ってPKに臨みました」。

 失点シーンは右コーナーキックで左利きのキッカーに対し巻いてくるボールを警戒しゴール側にポジションを取ってしまったこと、また速いボールに対し良い判断ができなかったことを反省。目標とする関東大会制覇に向け、守護神は強い想いと冷静な頭を持ってPK戦に臨んだ。

 先行の味方が決め、迎えた相手の1本目。シュートは左下隅の良いコースを捉えていたが、これを小櫃はセーブ。「PK練習でも自分は結構コースは当たるんですけど、当たって入ってしまうとかそういうのが多かった。なのでいつもよりちょっと早く飛んで止めようという気持ちでいて、そのちょっと早くしたことで1本目もコースは良かったと思うんですけど、しっかりと触れて止めることができました」。これで勢いに乗ると、2本目を右で止めてチームを勝利に導いた。

 シュートストップは小櫃の持ち味のひとつ。小島時和監督も「結果だけ見るとうちが快勝しているような試合でも小櫃のファインセーブで勝っている試合もある。(セーブで)ゲームの流れを変える、やられたというのをあいつが止めて勝っている試合も結構ある」とそのセービング技術を評価。一方で「安定したプレーはまだ自分にたりないところ」と「安定感」を課題に挙げる。

 昨年はひとつ上の代でも正GKとして選手権予選に出場した中で「ベスト4で昌平に負けた悔しさがある。この大会に昌平はいないですけど、次のインターハイは昌平が出てくるので、その昌平に勝つために関東大会に出て実力をつけていきたい」と小櫃。そのためにも「明後日の試合に向けて良い準備をして、勝つイメージを持って挑みたい」と準決勝・西武台戦での必勝を誓う。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽令和3年度関東高校サッカー大会埼玉予選
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