60mのロングシュートを含む2ゴールにも満足せず。神村学園・福田師王の成長を支える原動力とは

神村学園・福田師王

 豪快なダイビングヘッドに60mの超ロングシュート。圧巻の2ゴールで高校No1ストライカーに相応しいパフォーマンスを見せた。

 11月17日、千葉県内で合宿を行なっているU-18日本代表候補が横浜F・マリノスと45分×2本の形式でトレーニングマッチを実施し、二度のビハインドを背負う苦しい展開を跳ね返して3-3で引き分けた。

 11月12日から活動をスタートさせたU-18日本代表だが、今合宿は選手によって合流した日が異なる。その影響でチームをセパレートし、選手を14日に行なわれた関東大学選抜との練習試合と横浜FM戦で振り分けた。

 その中で存在感を発揮したのが神村学園のFW福田師王(2年)だ。後半開始からピッチに立つと、2トップの一角で存在感を発揮。身体の強さを生かしたポストプレーやゴール前への抜け出しで攻撃にリズムを作っていく。6分にはMF永長鷹虎(3年/興國・川崎入団内定)にラストパスを送るなど、積極的にペナルティエリア内でチャンスに絡んだ。

 精力的に動く福田にファーストチャンスが訪れたのは1-2で迎えた12分。MF藤原健介(3年/磐田・トップ昇格内定)が右サイドからライナー性のクロスをニアサイドに入れる。福田は狡猾な動きで相手を外すと、「体が勝手に動いた」というダイビングヘッドでゴールを決めた。

 福田らしいゴールで試合を振り出しに戻すと、その後も前線で起点となる。しかし、ゴールには結び付かず、チームも三度勝ち越しを許す。そうした嫌な雰囲気をまたしても福田が振り払う。31分に自陣でボールをカットすると、ハーフエラインより手前にも関わらず、思い切って右足でゴールを狙う。綺麗な弧を描いた一撃は高い位置を取っていた相手GKの頭上を抜けてネットを揺らした。

 衝撃の60m弾でスコアをタイに戻した以降はゴールを奪えなかったものの、強烈なインパクトを残したのは間違いない。

 自らの価値をゴールで証明した福田。活躍を素直に喜んだ一方で、満足はまるでしていない。

 「結果で見せられたのは良かったけど、チームが勝てなかったし、自分自身もあと1点欲しかった。ボールロストもあったので、もっと体を使って納めることができたと思う。良い課題が見えたのでもっと成長してまたここに戻ってきたい」

 実際に2点目を奪った直後は喜びを表さず、即座にセンターサークルにボールを戻した。そうした勝利への欲が福田の成長を支える原動力だ。飛び級で選ばれているU-18代表で結果を残したとしても関係ない。常に向上心を絶やさないストライカーは妥協せず、今後も努力を重ねていく。

(文・写真=松尾祐希)