浦和東、関東王者・西武台を下しベスト4に進出

2ゴールを挙げた浦和東FW前原健人(写真=河野正)

 令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選は19日、準々決勝4試合が行われ、浦和東が先の関東高校大会予選本大会を制した西武台に2-1で逆転勝ちし、ベスト4に進出した。20日の準決勝で同予選準優勝の武南と対戦する。

 先制したのはインターハイ予選で2連覇を目指す西武台だ。前半38分、岡田瑞生の蹴った左CKは、浦和東のGK高居凌汰にパンチングでクリアされたが、こぼれ球に素早く反応したエースFW市川遥人が押し込んで先手を取った。

 西武台は左SB安木颯汰がアグレッシブに攻め上がり、丸山実紀と山本匠馬の両ウイングも縦に進出して鋭いクロスを供給。前半アディショナルタイムにも安木の決定打がDFにブロックされ、そのこぼれ球を捕らえた市川の決定的なシュートもGK高居の好守に遭い、追加点を奪えなかった。

 1回戦からの3試合で15得点した浦和東は、前半のシュート数では西武台を上回っていたが、5試合無失点という堅陣で関東高校大会予選を勝ち抜いた相手の守備を崩し切ってのシュートは放てなかった。

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試合後の両校(写真=河野正)

 しかし後半に入り、それまでの4-4-2から豊田春斗を1トップにする4-2-3-1へ陣形を変えた戦略が図に当たる。敵の守備網の背後を取るシーンが増えたのに加え、三浦祥のロングスローや林田明日翔、福村海凪の両SBの攻撃参加などからもチャンスを膨らませ、前原健人の2ゴールで逆転に成功する。

 後半11分、守備ラインを切り裂く豊田の絶妙のスルーパスを預かった前原が、ゴール左隅に蹴り込んで同点。23分には、右から斜め左への的確なランニングをしてマークをはがした三浦がクロス。前原が混戦になったこぼれ球を中距離から確実に沈めて決勝点を挙げた。

 後半の西武台はサイドから積極的に仕掛けたが、関東高校大会予選4試合で7得点し、本大会3試合でも3ゴールを奪った市川に生きたパスを配給できず、決定的な得点チャンスは2分に丸山が打った1本くらいしかなかった。

 浦和東は伝統的に長いキックと走力、フィジカルの強さが特長だが、今季は丹念にボールをつなぐスタイルを打ち出した。1年生から出場しているボランチで主将の紀武瑠を経由し、中央からも外からも絶妙な崩しのパスが供給される。

 卒業生でもある平尾信之監督は、「いつもと一味違うチームになり、攻撃のバリエーションは豊富です。関東高校大会予選1回戦敗退が私も選手もショックで、ここから心と体を鍛え直しました。2失点までなら逆転できると思っていましたが、粘り強さとたくましさを発揮してくれました」とイレブンを褒め、6大会ぶり9度目のインターハイ出場に確かな手応えをつかんだ様子だった。

(文・写真=河野正)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選