部活動には力があるー。いずみが示すその重要性。磯崎主将「部活でしか学べないこともある」

上尾橘 vs いずみ(写真=石黒登)

 試合直前に雷雨が降り始め、途中からは雹も混じるように。そういった状況でこの日の第2試合は1時間半の延期の上にスタートした。「いずみ高校は水はけがすごく良い。だから、ぬかったグラウンドというのはやったことがない」(柴崎康之コーチ)と、いずみも難しい展開を強いられた。

 それでもいずみは主将の10番MF磯崎友也が中心となり全員が球際でファイトすると前半9分に磯崎が決めて先制。後半は攻められる展開もあった中でそこをしっかりと凌ぎ、2分に1年生MF白井蓮朱が沈めて2-0とし勝負を決めた。柴崎コーチは「頑張れる子たち。3年生は非常に真面目で一生懸命やろうという気持ちがある」とチームを支える3年生たちの奮闘を称えた。

 キャプテンの磯崎は精神面でもチームの中心。「最初はまとまらなかったんですけど、先生と自分と副部長で話し合ってこういうところで話しかけたり、こういうところで盛り上げればチームがまとまるみたいな。みんな仲良くやっていて、本当にファイトもあって良いチーム」と話す。

 また「この後サッカーをやるにしろ、やらないにしろ、やっぱり社会に出た時のルール、マナーは絶対に守っていくこと、挨拶をしっかりすることはチームとして意識しています。あとは切り替え。ミスしたら終わりじゃなくて、ミスしてもその後に何かがある。そういう諦めちゃうけど、諦めないという心をもっともっと一緒にできたら」とサッカー面以外でもチームを牽引。そして磯崎を中心とした3年生たちに引っ張られるように1、2年も大きなまとまりを持っている。

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 またサッカー部の影響は学校全体をも変えている。再任用制度で今年いずみ5年目を迎える柴崎コーチは「この子たちが一生懸命やっているので、学校全体がいますごく良くなっている。やっぱり部活動というのは学校を変える」とかつて指揮した南稜と同じ変化を感じているという。

 奇しくも「部活動の力」という言葉は磯崎も口にしていた。「たかが部活、でも部活でしか学べないものもある。それはさっきも言ったルールや「ありがとう」「ごめんね」といった挨拶、人間関係も培ってくる」。そしてそこは大人になってもなくさずに心に刻みつけていたいとした。

 近年の教育改革などで部活動の置かれている状況はこれまで以上に難しいものとなってきているが、もともと私たちの多くも部活動を通して社会性など多くのことを教わってきたはず。部活動にはそれだけの力があるのだ。今回のいずみはそういったことを思い起こさせてくれた。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選
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