初の全国狙う相洋が決勝進出、後半ラストプレーで追いつき延長で勝利

試合終了直後。喜ぶ相洋イレブン。

 第100回全国高校サッカー選手権の神奈川県大会は6日に準決勝を行い、第2試合は相洋が延長戦の末に3-2で三浦学苑を破って決勝進出を果たした。相洋は、夏のインターハイで県大会を準優勝し、神奈川県第2代表で初めて全国大会に出場。冬の高校選手権でも初の全国という扉を開けるのか、注目される。

 試合の序盤は、三浦学苑が攻勢。10番を背負うFW福田大我(3年)が中盤に下りてドリブルで攻撃の起点となり、サイドチェンジを交えて攻め込んだ。前半27分に右DF甲斐健太郎(3年)のFKをDF佐藤匠真(3年)がボレーで合わせ、GKが足で弾いたこぼれ球をMF比嘉虎頼(3年)がワンタッチで押し込んだが、佐藤がオフサイドの判定でノーゴール。それでも明確なチャンスを作り出し、得点の匂いを漂わせた。しかし、前半37分に先制点を奪ったのは、相洋だった。MF杉本颯太(3年)のロングスローを跳ね返した相手がクリアした浮き球を、MF工藤瑠太(3年)がノーバウンドでダイレクトシュート。ドライブ回転のスーパーシュートをゴール右に突き刺し、苦しい展開の中から点を奪い取った。

 ただ、試合のペースは、依然として三浦学苑のものだった。後半に入ると、すぐに右クロスを比嘉がヘッドで狙い、続けざまに甲斐の対角ロングパスを受けた比嘉がカットインシュートでゴールを襲った。そして後半15分、距離のあるFKで甲斐がゴール前に送ったフィードに対し、FW宮原義輝(2年)が相手GK前に飛び込んでボールに触って同点弾を決めた。さらにセットプレーなどで攻め込むと、後半27分にはMF中村空羅(3年)が左へ展開したところから比嘉がカットインシュートを決めて逆転に成功した。

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 しかし、ゴールを決めて喜んだ比嘉がガッツポーズで両ひざスライディングをしようとしたところで天然芝のピッチに引っかかって負傷。足をつり、3分後に交代。再三にわたって決定機に関わっていた比嘉を欠いた三浦学苑は、3点目を奪いに行くが脅威を与えられなくなり、対する相洋は諦めずに反撃を狙い続けた。そして後半のラストプレー、杉本のロングスローから空中戦、こぼれ球で競り合い続けて相手ゴール前でのプレーを続けると、途中出場のMF小池空(3年)がペナルティエリア内の密集地帯からゴール方向へ振り向くような体勢でバウンドボールをボレー。ボールは人垣を越えてゴール左へ飛び、三浦学苑はDF甲斐が背中越しのクリアを狙ったが成功せず、蹴ったボールは上に飛び、クロスバーに当たって落下。GKに当たってゴールイン。クリアしきれず同点となった。

 このプレーで後半が終了。そして、相洋は劇的同点弾の勢いを延長戦にそのまま持ち込んだ。延長前半4分、GK関野海斗(3年)のロングパスをFW進藤翼(2年)が空中戦で競り勝ち、途中出場のMF杉田雄斗(3年)がヘディングで前方に送ると、その間にスペースへ抜け出したFW佐藤天真(2年)がGKをかわすようにループシュートを決めて再逆転に成功した。三浦学苑の主将を務めるDF鈴木海夏人(3年)は「それまでヘディングは跳ね返せていたので、カバーの意識が薄れたところを突かれてしまった」と悔しがった。

 相洋は延長後半をしのぎ切って3-2で勝利。綱島陽介監督は「準々決勝では日大藤沢高校さんに後半のロスタイム3分で追いつかれた。それがあったから、自分たちも追いつけた。これが選手権だぞと選手には伝えた。気持ちの部分は良かったと思う」と劇的な展開で勝利をもぎ取った選手たちを称えた。主将を務める左DF後藤康介(3年)は「諦めない気持ちが勝ったのかなと思う。ここで負けたら意味がない。絶対に優勝したいです」と決勝戦に視線を移した。粘り強さとセットプレーの勝負強さで勝ち上がった相洋は、13日の決勝戦で桐光学園と対戦する。

(文・写真=平野貴也)

▽第100回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第100回全国高校サッカー選手権神奈川予選