キャプテンMF福井奏太が絶妙スルーパスで2ゴールを演出!関西福祉科学大高が清水谷を下し2回戦突破
先制ゴールを決めて喜ぶ清水谷イレブン
9月25日、第100回全国高校サッカー選手権大阪予選の2回戦が行われ、関西福祉科学大高vs清水谷は関西福祉科学大高が先制を許す展開から2-1と逆転し清水谷を下した。勝利した関西福祉科学大高は3回戦で桜宮と対戦する。
「前半から普段トレーニングでやっているプレーが出せて、後は枠に(シュートが)飛べば」(古山三樹夫監督)と言う通り序盤からペースを握ったのは関西福祉科学大高。17分には9番MF松本天斗が右サイドを縦に運んでクロスボールを上げ切り、80番FW菅野颯が飛び込む惜しいシーンを作り出す。前線の11番FW後藤龍もボールを収め攻撃の起点になるなど清水谷を押し込むも、あと一歩のところで崩し切れない。一方、清水谷は流れが悪いなりにも粘り強いディフェンスで前半を無失点で乗り切った。
【フォトギャラリー】選手権大阪予選 2回戦 関西福祉科学大高 vs 清水谷
後半に入ると、ここまで我慢を続けた清水谷が反撃に出る。36分、11番FW河合慶次郎が前線で身体を張ってボールを収めると、中盤に落として自らは裏に走り出す。7番MF松島来図が裏に走る9番FW森和輝に浮き球を通すと、森の胸トラップが少し大きくなったところに「本当は一本目で足元に縦パスが欲しかったんですけど、走り込んだら何か起こるかなと思っていたらボールが来た」と、FW森と並走していたFW河合が相手GKの頭上を越えるシュートをゴールに流し込んだ。清水谷が綺麗な形で中央を崩し先制に成功する。
見事に逆転勝利を飾った関西福祉科学大高
ワンチャンスを決められ苦しい展開になってしまった関西福祉科学大高だったが、「自分は謎に自信があったので焦りはなかった」とキャプテン10番MF福井奏太がその言葉通りチームを勝利に導く。先ずは50分、中盤でボールを受けると「いつもは足元に繋ぐんですけど、(菅野)颯が前の試合でもいい動き出しをしていたので信じて裏に出してみよう」と自陣中央から福井が左足で絶妙なスルーパスをFW菅野に通すと、菅野が相手DFとの競り合いに勝ち冷静にシュートを決めて同点。
更にPK戦突入目前の70+3分、今度は右サイドから「相手のDFラインが高かったのでGKとDFの間を狙った」と福井が右足で斜めのパスを通すと、このボールに反応したFW後藤が抜け出し、トラップでGKを交わし無人のゴールに流し込む。MF福井の2本のスルーパスから生まれたゴールで関西福祉科学大高が2-1と逆転に成功しそのまま試合が終了。土壇場で劇的な勝利を手にした関西福祉科学大高が清水谷を下し3回戦に進出した。
勝利した関西福祉科学大高の古山監督は「お互い知り尽くす相手同士の対戦だったので難しい部分はありました。3年生が最後の大会なので出来るだけ多く出れるようにと初戦に臨んだんですが、前の2トップが結果を出してくれて次戦に繋がったのは良かったです。ワンチャンスを決められてガックリ来るところはあったんですけど、やる事を変えずに攻撃し続けたことで個で崩したところはありましたけど、2点取れたことは大きかったと思います」と試合を振り返った。
「例年より個性がある選手が揃っている」という今年の関西福祉科学大高。「入ってきた時から今までのうちにはない能力を持っている選手」と古山監督が絶賛するキャプテンのMF福井がスピードのある前線を操り、粘り強く守れるDF陣もいてバランスが取れたチームに仕上がっている。「今年は大学でもサッカーを続けたいという情熱のある子が揃っているので、少しでも長く続けさせてあげたい」と古山監督も手応えを感じる教え子たちのこの先の活躍に期待したい。
一方、先制しながら惜しくも終了間際の失点で敗れてしまった清水谷の村井博司監督は「いつもは3年生がここまで残っているんですけど、今年はコロナの影響もあり早く辞めてしまって部員も少ない中で、身体能力は高くないんですけど、選手たちは真面目に一生懸命やってきました。3年生でパワフルな相手だったので1つ2ついなせればチャンスはあると思っていましたが、押し込まれる部分が多くて我慢が出来ませんでした」と試合を振り返った。
終始押され気味のゲームとなった清水谷だが、1.2年生主体のチームでも粘り強い守備で相手に立ち向かった。「頭もいいし集中力もある。あまりしんどいことを嫌わない子達」(村井監督)が進学校で勉強も大変な中、真剣にサッカーと向き合っている選手たちのプレーが印象的だった。
そして3年生の7人中6人が先に引退した中で唯一チームに残り下級生を引っ張ってきたFW河合慶次郎。「始めは3年生が一人なので着替える時も一人で、あまり楽しくはなかったけど、段々下級生とも壁が無くなってきて普通に接してくれたので最後の方は我を出せるようになって楽しく終われました」という河合が高校最後の試合となったこの試合でゴールを決め、歓喜の輪の中で下級生たちからゴールを祝福されたシーンはなんとも感動的だった。新チームには「ゴールは出来たけど結果の方が欲しかったので悔しいです」と語った彼の分もこれからサッカーを楽しんでほしい。
(文・写真=会田健司)
▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選