先制ゴールを決めて喜ぶ茨木イレブン

　9月26日、第100回全国高校サッカー選手権大阪予選の2回戦が行われ、泉陽vs茨木は茨木がMF泉谷賢のゴールを守り抜き1-0で泉陽を下した。勝利した茨木は3回戦で交野と対戦する。

　「泉陽高校さんは3年生が少ないチームでしたけど、守備も凄くよくてワイドも消されてしまった」と茨木の都浩司監督が振り返ったように、4部リーグの泉陽が3部リーグで首位を争う茨木に対し立ち上がりから攻勢に出る。前線からの守備も誰一人サボらない泉陽が相手の自由を奪い、特に19番DF酒井孝太郎が攻守に躍動し右サイドで優位に立つ。18分にはDFのクリアボールを右サイドで収めた11番FW二階大紀がそのままドリブルで仕掛け中にクロスを送ると、こぼれたところを拾った8番MF木下優一がミドルシュートを放つ。

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　泉陽のハードワークに苦戦していた茨木だったが、飲水タイム明けのファーストプレーでスーパーゴールが飛び出す。20分、茨木が左サイドのスローインからゲームを再開すると、「相手が引いていたので落としてもらえたらミドルを打とうと決めていた」とボックス左角付近でボールを受けた47番MF泉谷賢が思い切り右足を振り抜くと、アウト回転が掛かった強烈なシュートがGKの頭上を越えて落ち、ゴール右上のサイドネットに突き刺さった。流れが悪い中ワンチャンスを決めた茨木が先制に成功しこのまま前半を終える。

選手権大阪予選 2回戦 泉陽 vs 茨木

　後半も変わらずハードワークを続ける泉陽。43分には左CKがクリアされたところに7番FW木村颯大がダイレクトで右足を合わせミドルシュートを放つ。しかしこれを「(ゴール前が)密集していてよく見えなかったんですけど、ポジショニングだけ気を付けて止められた」と茨木の74番GK高段結がファインセーブ。決定機を阻止されても諦めない泉陽は63分、左サイドからのクロスが流れたところを大外に走り込んでフリーになっていた10番MF菊池捷が体勢を崩しながら合わせるも、惜しくもシュートは枠の外へ。結局前半のMF泉谷の虎の子一点を守り切った茨木がこのまま逃げ切り、1-0で泉陽を下し3回戦に駒を進めた。

　勝利した茨木の都監督は試合後「選手たちには『負けてもおかしくない試合』とハーフタイムに伝えました。それぐらいずっと相手ペースでしたので良く勝ち切れたなって試合でした」と泉陽を讃えながら試合を振り返った。さらに指揮官は「中々見れないようなシュートでしたね（笑）」とMF泉谷のゴラッソを褒めながらも、「ボールを動かしながらワイドを使って攻めたかったんですが、全て(スペースを)消されてしまい中々しんどかったです」と思うような展開ではなかったことを明かし、次戦に向けては「次も絶対に苦しい試合になると思いますので今日みたいに粘り強く戦えればと思います」と意気込みを語った。

　劣勢の展開が続き苦しい内容のゲームになった茨木だったが、それでも無失点で試合を終わらせた守備陣の頑張りは次戦に向けても計算できる好材料になった。その中でも決定的なシーンでファインセーブをみせ活躍したGK高段結。「高校からGKを始めた」という高段は中学時代まではDFやウイングをやっていたというだけあって、守備範囲の広さに加えキックの飛距離や正確性が光った。その高段は「攻撃は毎日練習してみんな頑張ってくれているので、僕ら守備陣が頑張って弾いて無失点で抑えればPKでも勝てるので、次も粘り強くやっていきたいと思います」と攻撃陣への信頼と守備への手応えを掴んだ様子で3回戦への意気込みを話してくれた。

　一方、健闘むなしく2回戦敗退となってしまった泉陽の多田雅征監督は「前半の飲水後の失点が痛かったです。相手が茨木さんだったので苦しい展開になると思っていたんですが、割と思い通りに行っていたので最後のところで取り切れなかったのが敗因かなと思います」と試合を振り返った。互角以上の内容の試合だったがゴールが奪えず「そこのところが力の差に繋がってくるのかなと。少ないチャンスでもやっぱり決めて来ますね」と、決定力の差を嘆いた。

　そして、これで引退となる2人の3年生(MF永野とFW木村)に対して多田監督は「インターハイで辞めてしまう子が多い中、2人が残ってくれてチームを引っ張ってくれました。(2人は)夏を越えてサッカーが上手くなっていくのがわかりましたし、彼らのおかげで凄くチームが締まって今日もいい戦いが出来ました。これからもこの経験を生かして頑張って欲しい」と感謝の言葉を残し、2人の今後の活躍にエールを送った。

　(文・写真＝会田健司)