FW松原光翔の1点を守り抜いた長尾が苦しみながらも3回戦突破!決定機を生かせなかった泉大津は無念の敗退

ゴールを決めて喜ぶ長尾イレブン

 10月2日、第100回全国高校サッカー選手権大阪予選の3回戦が行われ、泉大津vs長尾はFW松原光翔の1点を守り抜いた長尾が苦しみながらも1-0で泉大津を下した。勝利した長尾は4回戦で東大阪大柏原と対戦する。

 泉大津は2回戦で山本を3-0で下し「(4回戦の)東大阪大柏原戦を目指して戦っているので、ビデオの分析もしてなんとか1点2点を決めれるように全員で戦いたいなと思います」(西村諭史監督)と、この試合に臨んだ。対する長尾は2回戦が不戦勝となりこれが初戦。「スペシャルな選手がいないのでみんなで支え合って手を取り合って"FOR THE TEAM"で一人がチームの為に出来ることを考える」(義間健二監督)というチームが「スペースにボールを蹴って走り勝つ」と試合に入った。

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 試合は序盤、初戦で硬さが見られた長尾に対し泉大津が主導権を握る。泉大津は10番MF川端勇翔がドリブルで仕掛けチャンスを作る。13分には左CKを7番MF西村颯翔がゴール前を避けてストレートボールを入れると、4番DF三宅雅斗がヘディングでゴール前に送り、これを6番MF井上万優がゴールに背を向けたまま後ろにシュート。デザインされたCKが綺麗に決まったかと思われたがシュートはクロスバーに弾かれ枠の外へ。

 さらに泉大津は28分にも決定機。左サイドのFKをファーで折り返したところをMF川端がオーバーヘッドで狙うもこれもクロスバーに弾かれてしまう。2度のピンチで命拾いした長尾は35+2分、右サイドでスローインを受けた57番MF大館勇世が一度はクロスを選択するも、ブロックされたこぼれ球を自ら拾いドリブル開始。MF大館が内→縦→内と鋭く方向を変えながらボックス内に侵入するとゴール前にボールを送る。そこに走り込んだ58番MF日高絃太が合わせてゴールに流し込んだ。前半のラストプレーで長尾が貴重な先制点を手にする。

 1-0で後半を迎えるとペースは長尾に傾く。しかし泉大津もDF三宅を中心に身体を張ったディフェンスをみせ追加点を許さない。このまま試合が終盤に突入すると、何としても追い付きたい泉大津が猛攻を仕掛ける。しかしここで泉大津の前に立ちはだかったのが長尾の守護神55番GK藤田哲平だ。泉大津は後半アディショナルタイムにMF川端がボックス左に侵入し左足を振り抜くもGK藤田のファインセーブに合う。跳ね返りに川端がもう一度合わせるも今度はゴール右に外れてしまい万事休す。虎の子一点を守り切った長尾が1-0で泉大津を下し4回戦に駒を進めた。

 決定機を作りながらも1点に泣いた泉大津の西村監督は「お互い決めなあかんところと良く守ったところがありましたが、前半最後のところで入れられてしまいました。先制点を取れると流れに乗れるチームなんですが、逆に取られた時が課題だったので、それが最後までこの代の課題だったのかなと思います」と悔しそうな表情で試合を振り返った。4月に転勤してきた西村監督は「初めはいい加減なところが多かったんですけど、キャプテンの西村を中心にチームを立て直して凄くいい雰囲気で大会に臨めました。結果は勝敗がある事なので仕方がないです」とチームを引っ張ってきたMF西村に感謝の言葉を残し、「1.2年生はこの姿を見ていますので、来年は是非4回戦5回戦に進めればと思います」とここから始まる新チームに期待を寄せた。

トリッキーなプレーで魅せるドリブルを披露した泉大津10番MF川端勇翔

 ここで姿を消すことになった泉大津だが、キャプテンのMF西村がチームをまとめた好チームだった。泥臭いプレーをする選手がいると思えば、ライン際でヒールリフトを繰り出すMF川端のようなファンタジスタがいたりと、個性がありながらもチームとして成り立っているチーム。試合後、悔し泣きをする3年生たちだったが、3年間の集大成を存分にプレーで表現できたのではないかと思う。

 一方、勝利した長尾の義間監督は「今日が初戦という事で立ち上がり押される展開でしたけど、やってきた事をやり切る事を念頭にやってきたので、それを生徒たちが振り返って修正したと思います。前半終わりに仕掛けて点が取れたのが大きかったと思います」と試合を振り返り、「簡単に勝って終わらせてくれるチームではなかったので、最後一点取られてもおかしくなかった」と泉大津の粘り強さを讃えた。「GK(藤田)の子を信じて、"ヒーローになろう"とみんなで言って信じていたら、最後ファインセーブで本当にチームを救ってくれました。みんなで戦った70分でした」と苦しい試合を乗り越えた心境を語り、「全国大会出場という目標を掲げてずっとやってきたので、自分たちが踏んできたプロセスをあとはやるだけなので、70分間大暴れしていい結果を取れるようにみんなで頑張りたいと思います」と次戦に向けてもコメント。

 あくまで目標は高く。指揮官も選手たちも自分たちを信じて突き進む。そんな姿勢が試合後のコメントからも伝わってくるチームだ。

 (文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
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