大阪商大堺がCKからの3発で大阪教育C附を破り初戦突破!

選手権大阪予選 3回戦 大阪教育C附 vs 大阪商大堺

 10月3日、第100回全国高校サッカー選手権大阪予選の3回戦が行われ、大阪教育C附vs大阪商大堺はCKからの3発で大阪商大堺が3-0で大阪教育C附を下した。勝利した大阪商大堺は4回戦で春日丘と対戦する。

 2回戦で堺を2-1で破り勝ち進んできた大阪教育C附。「あまり自分たちを過小評価せず、かと言って天狗になるんではなく謙虚にやろう。泥臭く地べたを這ってでも行こう!」と奥潤也監督が前日のミーティングで選手たちに伝えてこの日に挑んだ。対する大阪商大堺はシードの為これが初戦。インターハイ予選では16強入りし、6回戦で惜しくも近大附に1-2で敗れ敗退しているだけに、この選手権ではその上を目指したいところ。

【フォトギャラリー】選手権大阪予選 3回戦 大阪教育C附 vs 大阪商大堺

ゴールを決めて喜ぶ大阪商大堺イレブン

 試合序盤は「自粛期間の影響もあって、合宿がなくなったりリーグ戦も7引き分けとこの夏はコンディションが中々上がらなかった」(能智景三監督)という大阪商大堺に対し、「立ち上がりの弱さがずっと課題だったんですが、今日は3年間で一番いい試合の入りが出来た」(キャプテン11番MF山本悠慎)という大阪教育C附が球際で戦い善戦。しかし、この試合のポイントとなるCKで相手に主導権を握られるきっかけを与えてしまう。

 5分、大阪商大堺は右CKを獲得すると10番FW美坐颯斗が「CKで両足で巻いて蹴れるように、自主練で左足の練習をしてきた」と左足でインスイングの鋭いボールを入れる。ゴールに直接向かう軌道のボールをGKが弾いたところを4番DF村上翔馬が押し込んだ。その後も16番FW十川能人や19番FW村上魁が度々裏へ抜け出して起点を作りロングスローも織り交ぜ圧力を掛け続けると、追加点もCKから生まれる。32分、右CKから今度はショートコーナーを使うと、7番MF前原隼斗のクロスにファーサイドでフリーになった5番DF松本良亮がヘディングシュートを叩き込む。

 2点ビハインドで後半に挑んだ大阪教育C附は中盤の攻防で10番MF日高翼や7番MF藤代祥太が球際で戦う。前線のMF山本も下がって加勢する場面もあり、一進一退の展開に持ち込む。しかし66分、大阪商大堺は右CKからまたもやDF松本が打点の高いヘディングシュートを決めて3点目。終盤、最後の気力を振り絞り攻勢に出た大阪教育C附だったが、結局最後までゴールを割る事は出来ずにタイムアップ。大阪商大堺が3-0で勝利し、4回戦に駒を進めた。

 勝利した大阪商大堺の能智監督は試合後に「リーグ戦ではセットプレーでも(点を)取れない部分があったので、逆に言えばセットプレーで取れたのはいい材料だったと思います」と初戦で動きが硬い中でも課題のセットプレーでゴールを奪えたことが収穫だったと話し、「今年のテーマは “To be united〜自他共栄〜”でやっているんですが、そういう部分で『ここに来られなかった様々な方々。色々サポートしてくださった方の為にも全力を尽くそう』とやっているので、次に繋げられて良かったです」と感謝の言葉を残し、初戦を突破したことに安堵した。次戦に向けては「うちは直向きにやるだけですので。選手権は日頃の感謝の気持ちをプレーに表現できる場と思っていますので、大阪教育C附属さんの分まで一生懸命頑張らせてもらいます」とコメントした。

 一方、残念ながら3回戦敗退となった大阪教育C附の奥監督は「立ち上がり、飲水まではゼロで行こうと守備から入ったんですが、やっぱりセットプレーの精度が凄く高くてそれにやられてしまいました」と序盤のセットプレーでの失点を悔やんだ。大阪教育C附はインターハイ予選を不戦敗となり参加が出来なかった。その影響について指揮官は「このチームでトーナメント戦を戦うのがこれが初めてになってしまったので、その経験の差もあったかなと思います。やっぱり負けたら終わりっていう勝負を春に出来なかったので、もう一つ殻を破るという意味で行き切らなかったかなと思います。たらればの話をしてもしょうがないですけど、そういう意味ではコロナが憎いですね(笑)」と経験値の積み重ねが出来なかった事が響いた事を振り返った。

 公立校である大阪教育C附がシード校に勝つのは簡単ではない。それでも選手たちはひた向きに戦い、誰一人諦めず最後の最後までゴールを奪いに行く姿勢をみせてくれた。奥監督は引退する3年生に対し「うちはボトムアップでやっているので、僕が何か言うというよりかは彼らが自身でメニューを考えて、試合で課題を浮き彫りにさせてそれを叩くという形でやってきました。それが出来るメンバーだったし、しっかりそれをやりきったと思います。いいことも悪いことも本音もぶつけ合える学年だったので安心して見ていられましたし、良くやってくれたと思います」と自分たちで考えやり抜いた3年生たちを評価し感謝した。

 試合前の集合写真では3番のユニフォームを持って撮影に臨んだ大阪教育C附イレブン。大会の直前に怪我をしてしまったDF藤本爽汰(3年)のものだ。1年から試合に出ていたこのチームの守備の要だったDF藤本は最後の十数分間なんとか出場することが出来た。キャプテンMF山本は「大阪商大堺はホントに強くてすべてが上でした。うちは周りから見たら弱小校ですけど、それでも僕たちのチームは仲のよさとか、一人一人の意識は相手には負けていないと自信がありました」と悔し涙を流しながらも胸を張って答えてくれた。最後の試合で「3年間で一番いい入りが出来た」事は偶然ではなく、彼らの努力の結晶だったんだと思う。

 (文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選