「監督がいない中で引退は嫌だ!」逆境を乗り越えた高槻北が堺西を下し、悲願の16強まであと1勝!
貴重な2点目を決めた高槻北キャプテンMF穂積孝明
10月9日、第100回全国高校サッカー選手権大阪予選の4回戦が行われ、堺西vs高槻北は後半3ゴールを決めた高槻北が堺西を3-1で下した。勝利した高槻北は5回戦で大阪商大堺と対戦する。
高槻北は羽衣学園と、堺西は牧野と、3回戦で0-0からのPK戦を制し勝ち上がってきた両チーム。「3回戦までは硬くなってしまっていた」(野見山力監督代行)「自分たちの良いプレーが出来なくて押されていた」(キャプテンMF穂積孝明)と口を揃えたように高槻北はここまで自分たちのサッカーが出来ないままこの日を迎えていた。一方、堺西も初戦からPK勝ちと3回戦シード校としては厳しい船出となっていた。
この試合、序盤から動きの良さをみせたのは高槻北。ワントップに入った9番FWト部真寛が前線で起点を作れば、左サイドでは14番MF川本太智が度々縦に勝負。中盤では7番MF穂積孝明がセカンドボールを回収しボールを握る。しかし高槻北が決定的な場面を作れないでいると33分、堺西は7番MF鈴木晴也のスルーパスに反応した11番FW糸川友貴がボックス内からシュートを放つ。しかしこのシュートは大きく枠を外れ両チームスコアレスで前半を終える。
【フォトギャラリー】選手権大阪予選 4回戦 堺西 vs 高槻北
前の試合から0-0が続いていた両チームだったが、後半に入ると試合が動く。46分、高槻北は左CKから大外の5番MF梶山賢吾が打点の高いヘディングシュートをゴール左隅に決め切った。これで勢いに乗った高槻北は54分、中央の縦パスの落としを前向きで受けたMF穂積がそのまま運ぶと、「GKが上がっているのが見えたので打ってみようかなと思って」と約25mの距離から右足でループシュートを放つ。このシュートがGKの頭上を越えてクロスバーの直前で落ちてゴールに吸い込まれた。
2点をリードして後半の飲水タイムを迎えた高槻北。ベンチでは「2点差で守りに入るな!次取りに行くぞ!」と声が掛かる。その通りに3点目を狙いに行った高槻北は65分、左サイドで8番MF須田大地が起点を作ると、最後はクロスに12番FW森光輝がゴール前で合わせゴール。理想的な展開で3-0とした高槻北だったがここから堺西の反撃が始まる。
選手権大阪予選 4回戦 堺西 vs 高槻北
64分、堺西はセンターサークル内で相手と入れ替わった24番MF原田七輝がGKが前に出ているのを見てそのまま右足でロングシュート。このシュートが必死に戻るGKの手をすり抜けゴールに収まり試合は再び2点差に。その後もサイドを上手く使いながら分厚い攻撃をみせる堺西だったが、高槻北DF陣もゴール前で集中した守備をみせ対抗。結局堺西の猛攻は実らず、このまま試合が終了し3-1で高槻北が勝利した。
残念ながら4回戦敗退となってしまった堺西の川元将太監督は「悔しいですね。もっとできる部分が多くあったはずなのに、自分たちの強みを出せなくて凄く勿体なかったと思います。"もっとできたのに"という悔しさが残ります。前回の試合も点数を取れていなかったので、1点取れたのは良かったんですけど、取った時にはもう遅かったです」と力を出し切れなかったことを悔しがった。続けて「僕は今年の春からチームみさせてもらって、選手たちに色々頼ってもらっていい関係を築けたと思うんですけど、やっぱりその分遠慮があってもっと強く言わなあかんところで言えなかった部分もあったかなと。彼らはもっと成長出来たと思うので、そこは僕の力が足りなかったと思います」と最後の選手権を終えた3年生に対してコメントした。
インターハイでは5回戦で大阪商大堺に敗れた堺西。「インターハイではベスト16に入れなくて、選手権の対戦が決まった時に(同じ山に)大阪商大堺が入っていたので"もう一度やりたい"と気合も入っていた」(キャプテンMF木村綾斗)と5回戦で大阪商大堺にリベンジする野望はここで途絶えてしまった。MF木村は「チームの雰囲気を悪くするんじゃないかと思って自分の意見を強く言えない部分があったので、僕がもうちょっと強く言っていれば」と川元監督と同じ後悔を口にした。"普段はもっと出来るやろ"と本番で自分たちの力を発揮できなかったところにはあと一歩チーム内でのぶつかり合いが不足していたのかもしれない。2年生ながら攻撃の中心となり、新チームでもチームを引っ張るであろうMF原田にはその部分でも期待したいところだ。
一方、勝利した高槻北の野見山監督代行は「今日は私用で監督がいなかったので不安なところがあったんですが、生徒らもそれをわかっていて、"監督がいない中で引退は嫌だ!"という事でよく頑張ってくれました。そこの気持ちがよく出たゲームだったと思います。緊張しました(笑)」と、監督がいないという逆境を力に変えて勝利出来たことに安堵した。
さらに野見山監督代行は「3回戦までは自分たちの練習してきた形が出せていなかったんですけど、今日はやりたいことを少しは表現出来たんじゃないかと思います。ベスト16を目指して6年7年やってきていますので、久しぶりにそこに手が届くところまで持ってこれたのは彼らの頑張りだと思います」と目標まであと一歩の場所までたどり着いた選手たちを讃え、「本当に16強を踏んで8強に挑戦する、『高校サッカーは公立が頑張らないといけない』と監督も言っているので、"公立でもベスト16に入れるんだよ"ってところをみせたい。3年間ずっと頑張ってきた彼らなのできっとやってくれると思っています」とこの日不在となった守田和正監督の気持ちを代弁し次戦への意気込みを語ってくれた。
次戦、"公立で16強"の目標に向けて高槻北イレブンが強敵、大阪商大堺に挑む。
(文・写真=会田健司)
▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選